月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

(エロ)ソシャゲのサービスの動きについて色々とPart1

流れ星の様な衛星

 

2022年5月2日 午後0:00 一つのブラウザゲームがひっそりとサービスを終えた。
Venusblood-ORBIT-(以下VBO) 2000年代よりWindowsでシリーズを重ねていた触手エロが一つの名物のダーク系エロゲーの系譜に連なるタイトルでした。
ここでは終了から半年を経て、その一生の振り返りを端緒に私が続けているソシャゲとの比較からどうして続かなかったのか?どんなゲームが続けやすいのかとこれを投稿する頃のキャンペーンについての考察までグダグダと2回ぐらいに分けて投稿したいと思います。

 

先ず、制作・運営に携わった方々には「お疲れ様でした」と感謝したいと思います。
その上で正直な所を言うとこの半年でのサービス終了は仕方ないと思っています。サービスイン後始めて間もなく「これは長続きはしない」という印象をもったのでむしろよく半年も持ってくれたと。ちなみに同じPCエロゲ出自としてさらに短命に終わったブラウザゲームサービスとしてスク水変身ヒロインが印象的な天使のアレが挙げられますが、VBOとアレとは失敗の要因が異なると思っています。アレはシリーズの根幹二つ(原画があの人である)(スク水を活かしたかっこえろかわいいコスチュームデザイン)が事前登録ガチャの時点で失われていたのでエロゲーとして面白いかどうか以前の名前倒れだったのに対してVBOはキャラや世界観はVBらしかったもののシステムのルック&フィールがWindowsXPの世代に近くて全体的に「古き良き時代」のエロゲーを今時のブラウザゲーのインフラに載せてしまったミスマッチ感が否めずプレイ継続が困難だったのではないかなぁと。いや、決して貶すつもりはなくXPの頃リリースされたVenusblood-Desire-とか-Empire-は製作元には悪いんですが一番好きなんですよ。今のVBに比べてあれこれ考えずサクサク出来るし、Desireのペルセイラ様はシリーズで一番お気に入りだし、シリーズで二番目に好きなEmpireのジルニトラ様をVBOは割と早く入れてくれたし妹妻ちゃん含めオリジナルも良かったし一月くらいまでは頑張ってログインして続けたんですよ。でも、今のブラウザソシャゲ系でリリースされた草創期の「神姫project」よりもレスポンスが今一つでデイリークエスト回すのもかったるく、製作費ん?億円で煽ったマジカミに比べると地味。なのでちょうどその頃仕事終えて帰ると体調がゲシュタルト崩壊してて酒は勿論、ご飯を食べるのも億劫な中でOrbitは真っ先にリストラ対象にせざる負えませんでした。他に手を出してたマジカミやエデンズリッター-グレンツェ-もその頃はよさげなイベント以外ログインだけの日が多かった位しんどかった。とはいえVBシリーズの一作として好きではあったしOrbitは短編の番外編として出されているChronicleシリーズとして実装予定だったシナリオとかリリース済みの部分はちょい手直しで何とか続きを出して欲しいと思います。いやほんと。他のFANZA/DMMブラウザゲームタイトルのようにEXNOAと折半でクレジット入っているわけでなくVBOはスタジオ九尾の持ち出しっぽいし……

ソシャゲ続けるための個人的重視の要素

で、ここからは長めのおまけの話。VBOとそれ以外で私が触れたことのあるゲームサービスとの比較とか。

まず継続(課金)前提のソーシャルゲームサービスに重要なことはこれだと私は思っています。

・毎日「気軽に」触れられる(デイリーが軽い)事
・魅力的な追加要素・リニューアルを「外向きに」行う事
・お金を(追加・維持に)かけ過ぎない。(課金要素に)求めすぎない。
・チームやギルドと言った集団への所属が必要な要素をゲームプレイ上必須にしない。

私、先日も或る方と久々に一緒にドライブに出かけた時「そういう」ゲームの話も出てきて私がデレステをリリース後間もなくから続けているという所で「7年もサービス&プレイを続けられるというと生活の一部にまでなっていて(ソシャゲ制作者なら)羨ましいだろうと思う」と感想を漏らされたのですが続く理由として先述のVBOやソーシャルエロゲーに比べると日課(サービス事業者のDAU稼ぎ&プレイヤーのプレイ継続資源稼ぎ的なデイリー)が軽い事が挙げられます。1曲3分程度を1回クリア+誰のでもいいから他のプレイヤーのルームを覗きに行って「イイネ」を昔5回今は1回する+営業というお遣いに3回出す+αと毎日3~4項目程度なのでデイリーで5~10項目最低30分費やすソーシャルエロゲーに比べて楽です。あとデレステというかそのベースコンテンツであるアイマス自体すごく息の長いタイトルだしアニメも良かったしでコンテンツとしての懐の深さが段違いなのが大きいんだと思います。その系譜の中ではデレステの7年も僅かなものでしかないように思います。もうバンダイナムコグループや関わる声優・プロダクションや音楽関係の屋台骨の一つにすらなっていますよねあれ。ちなみに同じようなスマホ音ゲーとしてはナナシス(Tokyo7thSisters)旧版も半年くらい、ラブライブも確かスクフェスの後のスクスタ?(虹ヶ咲が出てくる)は1か月程度触りましたが個人的にはしっくりきませんでした。
次に魅力的な新規コンテンツの追加も継続や途中からのプレイ・(サービス&プレイ)継続の為には重要に思います。ただ、ココのさじ加減が難しいと思います。お金と手間がかかりますし追加すればいいというものでもないです。

 

戦記絶唱シンフォギアXDアンリミテッド(歌繋がりで)

 

一例を挙げるとプロローグが主人公のお墓参りという衝撃的アニメ第1話を端緒にアニメを5期+途中からスマホソシャゲをリリースした「戦姫絶唱シンフォギア」。ソシャゲ版はリリースされて1年半後くらいから連発されたゴジラ他怪獣映画など関係者の趣味丸出しとしか思えない特撮コラボの話題を耳にして興味を持った所に原作アニメ1期から地味にいい役回りを演じていた脇役3人をアプリオリジナルの設定で戦線投入するイベント「竜姫咆哮メックヴァラヌス」の開催を切っ掛けに私は触れました。メックヴァラヌスは完全アプリオリジナルで異質な存在ですが他にも本編と違うキャラクタのifシナリオを平行世界として「聖遺物ギャラルホルン」という存在を軸に展開してコラボだけに頼らず様々なifシナリオを展開して豪華声優が配されているキャラクタの魅力を掘り下げるイベントを組めている点は評価したいです。あと、デレステアイマス)と同様にコンテンツのキーである各キャラクタの歌唱曲の追加もビジネス的に大きいように思います。

 

変身ヒロイン+魔法+エロ

FANZAソシャゲとしては「アイアムマジカミ(旧称・略称マジカミ)」と「エデンズリッター-グレンツェ-(ここでは略称:デンズリ)」の新規要素の追加のアプローチも挙げておきたいと思います。
「製作費ん億のエロゲ」というリリース時の煽りが印象深いマジカミはぶっちゃけた話「まどマギ」世代のお約束を元に渋谷を舞台背景にしてソシャエロゲとして作った代物でポップさと割とハードなエロが特徴とそれなりに出来ていると思います。キャラクタは主人公枠とマスコット、ヒロイン12人で計14人。2年サービスを続けてようやく4人追加されました。イベント・ガチャは先述のシンフォギアと似て担当者の趣味というか独特のパロディセンスが光るシナリオ明るめのイベント、ガチャは12人の「様々な可能性を具現化したドレス」という形でイベントや特別な設定を織り込んだミニエピソード付きで提供されます。有償ガチャは石の増量キャンペーンがイベントに関連して頻繁に行われるので割とハードルは低いです。コラボイベントは割と少なくDMM系ではよく行われる同プラットフォームのゲームとのコラボは「全く」なく、ある意味真逆の設定(秋葉原で科学)であるPCゲームのシュタインズゲートとのコラボが印象深いです。
(いや、全年齢版限定でなのはコラボとかもありましたが)

次にデンズリと誰かが略していましたが「エデンズリッター-グレンツェ」は先述のマジカミと少し異なり初出はPCのパッケージソフト「エデンズリッター」で、リリース当初から重厚な世界観と塗りのCG、ハードエロスが強烈な印象を放っていました。それをそのままD社のブラウザソシャゲープラットフォームに持ち込んだタイトルになります。
デンズリもご多分に漏れず他のソシャゲーと同様の様々なイラストレーターの起用や断続的なイベントシナリオ追加・キャラ追加を行っていますが印象深いのがコラボレーション企画です。デンズリと同じようなハードエロスで一世を風靡したcolors「魔法少女アイ」とのコラボの展開、そしてデンズリとの組み合わせは生ハムメロン的な印象のある真逆な全年齢ソフト「あすか120%」とのコラボイベントを立て続けに実施した事は絶妙な調和を見せたと感じています。
デイリーのルーチンプレイはキャラ育成やガチャ実行に必要な資材の無償供給が継続的にかつ他のゲームよりレート高めで行われているのである程度簡単にこなせるのは好印象です。
デンズリについてはガチャを回す際に必要な「石」の販売アプローチが絶妙な事も挙げておきたいと思います。マジカミや他のタイトルでもイベント開催に合わせて少しおまけ分(無償分)増量した購入メニューを増設するのがほぼお約束になっていますがデンズリの場合はイベントシナリオを一定の所まで達成すると時間限定で一日のお小遣い・タバコ一箱分のポイントで有償「石」メニューで無償分を大幅増量したものを用意・PRするというのはうまいやり方だと思います。単に「石」のキャンペーンメニューとならずゲームプレイと連動し手を出しやすい価格に抑える事で課金を誘引しているので先程資材の無償供給が割と高レートで行われると述べましたが実際の課金売り上げも立っているように推察します。

 

結びーVBシリーズとしてー

 

話を戻して冒頭のVBOはここまで挙げた他のソーシャルゲームサービスに比べ全てにおいて負けているだけでなくパッケージ版のVBシリーズと比べて勝る所も無くVBを応援している自分でもダメ出しせざる負えなかったのです。
先述の通り、VBシリーズとしてみてもWindowsXP世代のシステムとレスポンスで戦闘を早送りにしてもぜんぜん早くならないし、シナリオもほんの少ししか遊べなかったし……つらい。ちなみにXP世代のVBDやEは本来のテキストアドベンチャー・ノベルゲー向きのプラットフォームである吉里吉里シミュレーションRPGを作り上げたという技術的にはとんでもない存在でもあるのですが。
もはや、パッとVBOオリジナルヒロインの名前も出てこなくなる位自分の中で風化しつつあるのがちょっと悲しいですが、スタジオ九尾におかれましてはこれに懲りずにVBもしくはオリジナルでソシャゲにまた挑戦していただければとも思う次第。

 

次回はコラボの功罪についてグダグダと挙げる予定です。