スタンプラリー~ビュー富士川~リゾートJINRIKI~ASAMAPart4 完結
四日目
駐輪スペースが無かった為、宿の建屋とフェンスの隙間に押し込んでいた自転車はしっとり濡れていた。朝露とかではなく昨晩そこそこに雨が降ったからだ。
まだ、どんよりとした空模様の下短絡的に軽井沢を目指しペダルを回していく。途中の御代田町に入ると街路樹がほぼすべて花梨となっており花の代わりにたわわに実った黄色い花梨が出迎えてくれた。
国道18号に入ると交通量が増え、渋滞と急勾配が襲い掛かってきた。辛抱強く乗り越えながら進み軽井沢に入るころには青空と日差しに包まれていた。新幹線の駅に近い所謂旧軽井沢エリアに差し掛かった所で峠越え前の補給をする。エネルギーバーそしてアメリカンドッグをmgmg。走り出してふと左に美しい池が目に入ってきた。今まで何度となく車で通った道になのに今回初めて気がつき脚を止めた。
矢ケ崎公園と呼ばれる名所らしい。本当に知らなかった。自転車だから気付けた発見である。徒歩ならもっと発見があるのかもしれない。
さて、いよいよ今日一番の難所の碓氷峠に突入する。今回は平日の日中という事もあり通る車もほとんどなく勾配も緩やかでとても気持ちいい。車だと見過ごしたり駐車場所の都合で見送る景色も今回は思うが儘に楽しめる。今となっては遺構となってしまった旧信越本線のトンネルや橋も全部堪能できるくらいである。そして紅葉も昨日の清里と同じくらいでいい感じである。
せっかくなのでここの坂本ダムを見ていく。コンパクトでシンプルな流量調節目的のダムだが面白いことに堤体の上に鉄骨のアーチがかかっているのである。5年位前にも寄ったことあったのに気が付かなかった。ダムマニアも橋マニアも楽しめる一粒で二度おいしい処である。
ダムカード貰おうと事務所らしき建物に近づくと「近所の霧積ダムまで来てねん」とあり、ちょっと迷ったが4キロ程度おまけであれば大したこともないと判断。景色が開け左側の県道に転進し再び登っていく。
登り始めはゆるやかで左側にはかつての信越本線の遺構、架線柱が見えたのは思わぬ発見だった。1キロ半くらいランデブーし別れると道幅は狭くなり山道らしく九十九折と厳しい斜度が目の前に立ちはだかった。挙句の果てに法面工事で自動信号による交互通行。
車はいないが信号が変わるのを待って再び登り始める。さらに厳しい勾配を疲れた脚で何とか登り切ると緩やかな下りに変わり霧積ダムがその姿を現した。
インターホン越しに要件を伝えるとあっさり貰えた。しかも坂本・霧積ダム2枚。個人的には坂本ダムだけで良かったのだけれどありがたい。
霧積ダムを出発し、注意深く下って国道18号に戻る。下り基調でノリかけた所ではあるけれど右手に峠の釜めしが見えてきたのでお昼にする。知人はここで左折して駅の裏手の本店に行くらしい。今まで何度となく来ているが本店に行ったことがない。本店と銀座の出張店でしか季節・数量限定の釜めしは食べられないらしいのだが、本道からのアクセスからついついこっちの大きなお店に寄ってしまう。
ここまで来ると昼下がりという事もあってか自転車に乗っていると暖かいというか暑いくらいだ。18号現道は対向2車線と言えど幹線道路という事もあってか交通量が多く大型トラックも多い。そしてこのまま家路に向かうつもりでもあったので旧中山道に入り国道254号線に向かう。上信電鉄沿いを走り、254バイパスそして254号現道に入っていく。ちなみにこの途中には三途の川がある。
たからったさんのブログ(おとなの小探検)で取り上げられていた。
現道もけっこう交通量が多いのだけれど18号走っているよりかは家に近づいている感はするし、一昨年の秋にナイトライドで当時の自宅から川越~254号北上して群馬県内の温泉目指したものの早朝の雨で断念した時の雪辱を晴らしたいのもあった。
車ではすっかり見慣れた妙義の道を今自転車で走りつつ自宅を目指すという状況に興奮を覚えつつペダルを回し続ける。
陽がそれなりに傾いた16時前に何とか神流川を渡り埼玉県に入る。大分近づいた様でここからまだ50キロ以上走らねばならない。
そして前回、ロングライドを断念して秩父鉄道に乗った寄居と荒川を渡り興奮したがここで荒川沿いに進路を取ったのがミス。
公園路に入ってしまい、河岸崖線の急勾配と人家が少なく狭路が続く展開にメンタルと時間的マージンを削られてしまった。まともな道に戻ったころには日が沈み、家路を急ぐ自家用車とランデブーしながら体内コンパスを頼りに何とか熊谷を目指す。
‐ガーミンとかワフーなどブルジョワの持ち物であり不要です。「サイクリスト」にはそれがわからんのです‐などというのは半分冗談だが日本式のGPSナビは不要。ようやく国道407号に出て、「荒川沿いの自転車道」と行きたいところだが既に日が暮れ堤防沿いで照明のない埼玉県の荒川自転車道を走ることに躊躇。補助バッテリーでチャージしつつスマホで地図を確認する。旧中山道に出るにしても熊谷市街地に入らねばならずこの時間はそれなりに車通りがある事は容易に想像出来、ここまでのライドで車とのランデブーに疲弊していたこともあり荒川東岸の自転車道というか管理道を安全に留意してゆっくり走ることにした。
熊谷近辺は荒川ぞいに照明付きのグラウンドが在ったりで意外と走りやすくそういうところでは夜のジョギングを楽しむ人もいた。
運動公園を過ぎいよいよ真っ暗な堤防をゆっくりと進む。東岸の自転車道はまだ整備途中らしく北本あたりで荒川から離れ始め、桶川あたりからそのまま堤防沿いの県道に入ろうかとした所、大粒の雨がぽたりぽたりと落ちてきてシャッターの下りた昔ながらの商店の軒先で雨宿りをする羽目になってしまった。スマホで雨雲レーダーを確認するとなんとこの荒川の桶川市近辺だけ強い雨が降っていた。そういえばこの年の夏もこの近辺で発生した夕立が酷かったのを思い出した。大きな山や谷はないけれど何かしら雨を誘う大気的要素が桶川近辺にあるようだ。このにわか雨のおかげで1時間近くロスしてしまった。
雨宿りからそのまま県道を南下し、大宮の西側に侵入し清河寺~川越線の西大宮を渡り南下していく。大宮駅を真正面に捉えた時、帰ってきたことを実感した。そして10時近くに行きつけの銭湯に立ち寄り汗と埃まみれの体を洗い流し帰宅した。
この日、佐久からここまで160キロを無事走破した。1日の最高記録更新。
5月のC2Cとは違った満足感のある旅になった。