月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

エレメンタルタロットの使用法(2/2)

さて、前回に引き続きエレメンタルタロットをきっかけにタロット占いを知ろうとする本エントリ、後半は占い方です。
(あくまでアマチュアの自己流の読み方なので参考程度でオネガイします)

ちなみに私がタロット関係で所持し、参考にしている書籍は以下になります
(他にも公設の図書館などで借りて読んだりなどしています)

 

 

 

はじめての人のためのらくらくタロット入門

はじめての人のためのらくらくタロット入門

 

 インターネットでは

www.senli-fortune.com

簡潔かつ豊富なコンテンツでとても参考になるサイトです

 

charge-fortune.yahoo.co.jp

占い師として有名な鏡リュウジさんのタロットコンテンツで初めての人にも
とても分かりやすい構成と語り口は流石です!

 

占い方


アニメ版1話の冒頭を振り返ってみるとイメージが掴みやすいでしょう。
先ずは、落ち着いた状態でカードに何を占うのかを込め、使用するスプレッド(カードの展開方法、占う目的によって変わります。次の段で紹介します)を考えつつ(アニメでは占う相手と最初に手をタロット上に載せています)裏を向けて混ぜ合わせます。
頃合いを見計ってバラけたカードを一度山にして、三等分します。
なお、占う相手がいる場合はその人に3等分してもらい、順不同で山に積み直します。
山を最初に作る時、カードの左上を頭にするとかしないとかもあるようですが私はそこまで気にしていません。

次に積み直した山から選択したスプレッド通りに、一枚ずつ裏向きのまま展開して
いきます。

展開し終えたらカードを一枚一枚めくっていきます。めくる順番は置いていった順です。
しかし、リーディングを行いタロットの配置から浮かび上がる結果を紡いでいく順番は必ずしもめくった順番ではありません。基本的には「過去→現在→未来」ですが
ヘキサグラムなど3枚以上使用する場合、スプレッドや占う内容によっては
「未来→最終結果→その原因となる過去→現在→周囲の反応→自分の状況→最終結果への対策」と言ったような単純にカードに割り当てられた基本的な意味にこだわらず
相手や占う事柄を念頭に置き何かしらの指針を浮かび上がらせていくのです。
その為、自分以外を思いやれる精神と深い占う内容への洞察力、カードが持つ意味を
組み合わせて言葉に換える豊かな想像力が求められます。
(個人的な考えですが、基本22枚のカードプラスそれぞれ裏表から結果を導き出す
タロットリーディングは決して目に見えず仕組みを明らかにできない胡散臭いスピリチュアリズムの産物ではありません。
極めて精緻な確率、言い方を変えると長年の人類の叡智に依り組み上げられたプログラムが映し出す演算結果がビジュアライズされたものです)

冒頭で、他人を安易に占わないように書いたのは、導き出した結果が依頼者がどんなに軽い気持ちで依頼したにせよ、伝えた結果はその人の次の一歩に大きく影響を与えうる事を肝に銘じる必要があると私は考えているからです。


占った相手は多少なりともあなたが導き出した指針に影響を受けます。
全く影響を受けないなどという事はあり得ません。


占いの入門には一人でやっているより他人を占う方が上達するからと積極的に他人を
相手にすることを勧めるものもありますが、自分の技術修練の為に他人の次の一歩を
軽んじるような考えに私は同意しかねます。
だから、私はきちんとした学びや教導を乞う事をお勧めしたいと思います。


古代、洋の東西問わず国家運営に占いが深く関与し、占いの結果や予言(預言)により多くの人が助かったこともあれば大勢死んだ事もあり、悪い方に外れた場合に占った人間が責を問われ処刑されたというエピソードはいくらでも存在しています。

現在の近代国家の法律では占いの結果で人が傷ついたり死んでも罪には問われませんが
それでもアニメ版1話であかりとの口論の際に冬菜が言った
「当たれば感謝するけど外れれば恨む」となり、占いの館で厳しい指針を突き付けられたバツイチの男がダエモニアと化したように現実で(ダエモニアは出ないにせよ)
タロット占いを軽い気持ちで他人に行った結果、自分自身や無関係の第3者に危険が生じる可能性がゼロではないと考えます。

 

スプレッド(カードの展開方法)


 幻影で登場したスプレッド


ケルト十字 1話冒頭他 (ウェイトが開発したとされ良く用いられる一つ 
オールマイティ じっくり一つ 時系列も追える)
ギリシャ十字 1話前半 (オールマイティ 概要把握に向く)
ホロスコープ 1話後半 (漠然としたテーマや未来向き)
●ヘキサグラム 5話中盤 (オールマイティ シンプルかつ具体的)
●イシュタルの船 7話中盤 (ネット上でタロット関連を多く扱ったサイトを運営するnekomata氏のオリジナルスプレッド 問題解決や進路決定の為に過去と未来を探る)
生命の樹 エンド   (最近のアニメでもよく見られるカバラの宇宙体系図に基づく)


オーソドックスなスプレッド

ワンオラクル
ツーオラクル
ツーマインド

1、ワンオラクル
 22枚のカードを裏を向けたまま横一列に並べ中から1枚を選んで横からめくり
結果を読む一番シンプルな占い方。
 あまりあれこれと視るのではなく直近の1日の運勢や目の前の事柄のイエスかノーかを視る向き


2、ツーオラクル
 2枚のカードから結果と対策を探るワンオラクルの上位版
 準備した22枚のカードの山の上から7枚ずつ「右」そして「左」に取り横に2枚並べ、横からめくります。


3、ツーマインド
 ツーオラクルが山から抜いたカードを左右横に展開したのに対し、ツーマインドは
上下縦に展開して占い対象の表層意識と深層意識を探る極めて恋愛相談向きなスプレッド。

本格的に使えるスプレッド(幻影アニメ本編で登場)


4、ヘキサグラム
 準備した22枚の上から順に六芒星を構成する正三角形を、上向きそして下向きの順にカードを配置していき、最後もう一枚六芒星の中心に配置する事で
 「未来→最終結果→その原因となる過去→現在→周囲の反応→自分の状況→最終結果への対策」を占う汎用性が高いスプレッド。
配置したカードの順に「過去→現在→近い未来→対策→周囲の反応→自分の状況→最終結果」の意味を掬いとる7枚を使います。
なお、読むのは配置した順ではなく幾つかパターンがあり、上下の三角ごとに纏めて7を読んだり、
先に挙げた様に(3→7→1→2→5→6→4)の順に繋げていくと良い様です。


5、ケルト十字
幻影ヲ駆ケル太陽で一番使われたスプレッド。タロット「ウェイト版」の作者であるA.E.ウェイトによって生み出され、占う事柄の時間による状況変化も視ながら
じっくりと結果を導いていくオールマイティなスプレッドの上級版


6、ギリシャ十字
5枚を選び、十字上に並べて現状・障害・傾向・解決・最終結果を視ていくオールマイティなスプレッドの入門編になります。
それはヘキサグラムやケルト十字に比べると手に取れる情報量が少ない為で、質問に対し大まかに捉えたい時に使えると思います。

7、ホロスコープ
大アルカナまたは小アルカナの中から13枚を選び、ホロスコープに見立てるスプレッド。
漠然としたテーマや未来(12か月+1年の鍵)を視るなどに向く

8、イシュタルの船
古代バビロニアの美・豊穣・航海・戦争の女神イシュタル(イシター)にちなみ
運命・未来を船に見立てたスプレッドです。
アニメ本編(7話の永瀧の母)を参考に色々と調べましたが残念ながら私にはインターネット上でタロット関連のスプレッド一覧や占いプログラムを公開していらっしゃる
nekomataさんのサイトでのネーミングとリーディングしか見つけられませんでした

9、生命の樹
よく、異性または自分の心理を深く知ることが出来るスプレッドと紹介され、運命や
未来より心理に振ったスプレッドのようです。
ただ、これについては占い方よりも幻影シリーズを深く理解する為に22枚のカードがどう配置され、タロット占い時に配置される位置にどのような意味が込められている
かをこれから始まる「幻影のメサイア」の為に押さえておいてほしいと思います。
占いの際には10枚の大アルカナを選びます。
そこから、性格や心理状態、心理的なネガポジを探っていきます。
その配置図が別名「セフィロトの樹」と呼ばれ、ユダヤの神秘思想カバラにおいて極めて重要な教義・宇宙の体現図と同じです。
それは人間が様々な道程を経る事で神の元に行ける、別の言い方をすれば「奇跡」を起こす為の体系を記しているとされます。
10の天球(セフィラ)、22の小径(パス)がそれぞれ小アルカナ、大アルカナに対応していると19世紀にエリファス・レヴィ(フランスのオカルティスト)が唱えたのがきっかけとされます。


さて、幻影の設定ではセフィロトを自由に操作し人の運命を操ろうとした研究の中からまずアイオーン・タロットが生まれ、そこからディアボロスタロットと
エレメンタルタロットが派生したとなっています。(アニメ4話前半部)
10のセフィラを頂点のケテル(王冠)そしてマルクト(王国)に下る神の聖性そのものこそ奇跡であり、そのメカニズムを解き明かして人が奇跡を起こそうとする為に
神秘思想や錬金術は産まれました。ですから、アイオーン・タロット(エレメンタルタロット)は(そういう世界の)その為の道具と言えるかもしれませんね

 

通常のタロットを使ったリーディング例

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(スプレッド:ヘキサグラム 1:吊るされた男逆 2:正義正 3:皇帝逆 4:女帝正 5:力逆 6:太陽正 7:節制逆)
では、タロット占い(リーディング)を試してみましょう。
先ずは、お仕事(探し)について一般的なウェイト版、ヘキサグラムで占ったという
想定で(画像はエレメンタルタロットですが)読んでいきます。


状況を確認しましょう。過去に「吊るされた男:逆位置」現在には「正義:正位置」
未来に「皇帝:逆位置」周囲の状況に「女帝:正位置」無意識「力:逆位置」
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」最終結果には「節制:逆位置」が出ました。最終結果にアンバランス・不安定さを示す「節制の逆位置」が出ており
中々厳しい内容です。


さて、ヘキサグラムのスプレッドですがこの出た順ではなく、先の説明の様にまず、3枚目から
読んでいきましょう。
「皇帝の逆位置」でお仕事絡みの未来という事は、元々ネガが多い他のカードの
逆位置より(審判や世界程では無いにしても)独りよがりや頑迷さにより大きな
失敗をすると告げていると考えられます。
次に最終結果でも「節制の逆位置」が示されており不安定だったり上手くいかず
くよくよすることになるという意味が顔を覗かせます。
今のままで行くと近い未来、仕事が決まっても空回りして過労気味になったり
成果を挙げられず消化不良な事になったり、仕事が決まらずイライラ・不信の塊に
なってしまいそうです。良くない意味で混沌として仕事は不安定になりそうです。


どうしてそうなるのか?過去の所を視ると「吊るされた男の逆位置」が示されており、仕事に一生懸命取り組んでいたものの視野が狭く成果に繋がらなかったり、自棄に
なってしまった事があるようです。その為、現在の所に「正義の正位置」という事で
過去に犯した失敗の体験から軽率さや浮つきから解放され物事をまっすぐに
捉えられるようになっていると本来は見て良さそうな所ですが、熱意を持ってという
より冷静さや醒めて車に構えた感じが勝ってしまい、冷たい印象をどことなく漂わせているのかもしれません。
無意識の所に「力の逆位置」という所からも体験により身体で色々学んだものの心の奥底では過去の失敗から抜け出せずに立ち直れていないとここは見るべきです

厳しい現状把握の暗示が続きました。さて、このままでは占った相手は絶望のどん底に突き落とされてしまいます。
暗い未来を少しでも避ける、スランプから抜け出す光明は見つかるのでしょうか?


素晴らしい事に自分の状況・選択肢の所に「太陽の正位置」が示されています。必要なのはカードの絵(ウェイト版の白馬に跨り、旗を掲げて前に進む幼子)の様に
自信を持ってまっすぐ自分が見据える目標に向かって努力することなのです。
さらなる幸運として周囲の反応の所に「女帝の正位置」が示されており、周囲の人は
その人を能力や経験はあると見て暖かく見守ってくれていると考えられるのですから
 

エレメンタルタロットを用いた場合のリーディング例

(スプレッド:ヘキサグラム 1:吊るされた男逆 2:正義正 3:皇帝逆 4:女帝正 5:力逆 6:太陽 7:節制逆)
次にエレメンタルタロットの意匠・設定を基準に先と同じ展開結果を読んでいきましょう。
基本的な部分は変わりません。
過去に「吊るされた男:逆位置」現在「正義:正位置」、未来に「皇帝:逆位置」周囲の状況が「女帝:正位置」無意識で「力:逆位置」
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」最終結果には「節制:逆位置」です。


未来の「皇帝の逆位置」、最終結果の「節制の逆位置」から努力の空回りや更なる転落や損失が視て取れます。


ここで引っかかったのは「翼」です。
皇帝のエレメンタルタロットに添えられているグロリオサという花
(神の)栄光や勝利の象徴の花として用いられるものですが
赤と黄色に彩られた揺れる炎のような姿からフレイムリリーと呼ばれたりもします。
その姿に不死鳥を思い浮かべ、快気への希望としてお見舞いの花束に添えるというのも
幻影とは別のアニメの1シーンでありました。最終結果の節制のカードも非対称の翼を広げた天使のアトリビュートです。そんなカードの逆位置から私はどうしても


「堕落(堕天)、絶望」
を思い浮かべてしまいます。


エレメンタルタロットの「節制」では先に挙げた天使と共に、またウェイト版でも節制のアトリビュートの一つとして夜明け・日の出が添えられています。
ここで夜明けそして天使から浮かぶモノとして「明けの明星」の異名を持ち、最も偉大な天使とされながら堕天した天使長ルシファーがあります。
奇しくも節制の次のカードは堕落を意味する「悪魔」であり、ルシファーは七つの大罪(悪徳)の傲慢を司り、これは「皇帝」の逆位置の意味の一つとしても数えられているものです。


加えてすごく個人的なネタですがその衣装からグロリオサの花を連想するニチアサの
(ある作品で途中から登場した)ヒロインは当初「絶望のプリンセス」として登場し傲慢な少女だった事も頭を過ぎります。
つまり、単なる仕事の失敗にとどまらず精神的・私生活の崩壊を含めた深刻な暗示なのかもしれません。


そして原因・きっかけの「吊るされた男の逆位置」からは
人物とエレメンタルタロットで追加されたアトリビュートのナナカマドとの隙間や
13番目の使徒ユダへの暗示として金貨やユダのアトリビュートの黄色が用いられている所からも良かれと思った判断が大きな失敗に繋がり、まだ自分の中で慎重に用心したのに失敗したと失敗の大きさを捉え切れておらず、無意識下では
(自分の現在の境遇に納得がいっていない。もっと評価されるべき)
という自意識過剰がくすぶっている感が漂います。

イスカリオテのユダは使徒達の経理を司っていたとされ、その立場を利用し不正を行っていたという説もありますが、マタイ・マルコ福音書において香油注ぎのエピソードでとてつもなく高価な香油を夫人がイエスに祝福の為にかけた事を無駄遣いと批判したのがユダで、思いがけずイエスにたしなめられた事でイエスが自分の想像した救世主でないと裏切りを始めたという解釈の方が有力です)


力のカードに見える山並みと黄色い円から思い浮かぶ太陽が逆さまで、日没そして
山には平地よりも大きく濃く日暮れに影が覆うことからも
巣食った闇の深さは深刻なのかもしれません。


その為か、本来、安定したクリアな状況を示す現状の「正義の正位置」の
冷たい部分が通常より浮かび上がってみえます。
潜在意識下での過去と現状認識の甘さそして不満から他人の過ちへの反応が
自己本位のきついものになっているようです。
アトリビュートとして添えられているリンドウの花言葉には「淋しい愛情」もあり
その影を一層濃くします。


ここからどうすべきなのでしょうか?
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」、周囲の反応に「女帝の正位置」とあります。
ここでは一つ前に示されたエレメンタルタロット「力の逆位置」と次に示された「太陽の正位置」の対称性に注目したいと思います。


先程、逆さまになった力のカードから日没と通常より深い山間の影をイメージしたと述べました。その次に燦々と光を降らせる太陽、つまり日の出は必ず
訪れるので自棄になってはいけないそう考える事は出来ないでしょうか。
昇る太陽は平地の方がその恩恵に浴しやすくヒマワリや草花を育てます。
それに比べて、山間に昇る太陽は高く昇らないと山間の隅々を照らしませんが
代わりに草花より大きな木が集まった森を育みます。
果物の多くは草ではなく木に実ります。
次のカードに豊かな実りを示す「女帝の正位置」も示されている事からも
来る時まで耐え忍び頑張れば大きな恵みや収穫が得られると信じるべき

そうは伝えられないでしょうか?

いかがでしたか?

タロット1枚1枚に備わった意味のかけらを繋ぎ合わせ、時には厳しくある時は優しさと励ましのメッセージを浮かび上がらせていく。
カンタンに出来そうで出来ない事ですが、あかりちゃんが「人の役に立ちたい」
と物語冒頭で占い師を志した理由がわかると思いませんか?


占いの修行を特段したわけでもなく、文章力もあまりありませんが
精一杯エレメンタルタロットそしてタロットの面白さをまとめてみました。
エレメンタルタロットを手にされた皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。

もし、このエントリと先のエントリから幻影シリーズとエレメンタルタロットに興味が湧いた方がいらしたら是非これを機に触れてみてください。
幻影シリーズクライマックス「幻影のメサイア」はこれからですよ!

geneino.com

それから、幻影シリーズを白銀までチェック済みという方には、拙い文章で恐縮ですが私が執筆者として初めて二次創作、長編(連載期間およそ1年)に挑んだ
「幻影ニ映ヱる剣月」も併せて是非!
(現在、全く別の幻影シリーズ二次も企画練っています)

www.pixiv.net


最期にこのタロットを産み出した方々と我々の手に届けて下さった皆さんに深く感謝申し上げます。