月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

エレメンタルタロットの使用法(1/2)

本稿では以下の事について私(飛鳥井 誠一)が知り得た範囲での情報をもとに
幻影シリーズ「幻影のメサイア幻影ヲ駆ケル太陽/幻影を舞う白銀」

に登場するエレメンタルタロットをモチーフとし、幻影シリーズオフィシャルサイトで販売されているタロットカードセット(以下エレメンタルタロット)を活用する為に

●タロット(大アルカナ)とは
●一般的なタロットとエレメンタルタロットの違い
●エレメンタルタロット22枚の意味(正位置/逆位置 花言葉)と比較
※オフィシャルサイトタロットカードギャラリーに基づく
●占い方(共通部)
●スプレッド(カードの展開方法)
●通常のタロットを使ったリーディング例
●エレメンタルタロットを用いた場合のリーディング例

以上の項目について纏めたものです。

本エントリを読もうとする方で幻影ヲ駆ケル太陽・エレメンタルタロットとは何ぞや
という方はおられないと思いますがもしご存じなければこちらをクリック!

geneino.com


なお、私自身は専門家・占い師ではありません。
幻影ヲ駆ケル太陽」以前からタロットカードは触れていましたが
幻影ヲ駆ケル太陽」にハマって二次創作・オリジナルの小説を書くようになる位
色々拗らせているファンの一人です。
本エントリについてタロットの伝統及び「幻影ヲ駆ケル太陽」の設定は尊重していますがあくまで非公式の一見解です。
もし、本格的にタロットカード触ろうとお考えの方は専門書や専門家に師事することをお勧めします。
特に、他人を占う行為は安易に行わないべきと考えますので慎重に判断するようにお願いします。

タロット(大アルカナ)とは


タロットカードは現在の形に至るまでに複雑な変遷を経ている為、それこそ
第一話「太陽の黒点」であかりちゃんが語りだして止まらなくなるのも仕方がない位のうんちくが有ります。

そもそも、タロットカードといっても本来は大アルカナと呼ばれる22枚と小アルカナと呼ばれる56枚を合わせた78枚がワンセットとなっています。ただ、小アルカナは占いの現場でも大掛かりな占い方(スプレッド)で用いられる位で一般的なタロット占いとして紹介されているのは大アルカナ22枚を用いたものです。
(エレメンタルタロットも大アルカナ22枚のみです)
その為、小アルカナについてはここでこれ以上は取り上げません。
また、大アルカナにも幾つかバリエーションが存在しますがここでは入手が容易な二つのバージョンについて説明します。


まずは「マルセイユ版」。17世紀に入ってからのヨーロッパ各地におけるタロット占い・ゲームの流行を受け、フランスの木版画家「ジーン・ノブレ」がオリジナルを作り、印刷を担ったいくつかのギルドによる亜種を生む程のヒットとなったものを受け継ぐ絵柄の版です。
ギルドによって若干の絵柄の差異があるものの基本的な構図やアトリビュート(暗喩など意味を持たされた付帯物・象徴)はほぼ同じの為、総じて「マルセイユ版」と称されます。
余談ですが、セフィロ・フィオーレの本部が「マルセイユ学院」とされているのはこれにヒントを得たものと思われます。

 

 
次に日本ではタロットカードというとこちらが一般的な「ウェイト版」。
20世紀に入り、イギリスの「A.E.ウェイト」によって作り出された版です。
マルセイユ版登場後の魔術・オカルト思想の影響を汲んだ上で再構成されています。
だいたい、ウェイト氏が魔術結社「黄金の夜明け団」そしてフリー・メイソン、更には神智学協会に所属した位筋金入りだったという時点でお察しください。
ただ「ウェイト版」が現在の定番になったのはそういったオカルト的な要素よりは
マルセイユ版登場以降にタロット周辺で起きた世界の動きを汲み、体系化と洗練を
タロットカードに施した事による方が大きいかもしれません。
第二次世界大戦後、「ウェイト版」を最初に手掛けた英ライダー社により刊行された「The Key to the Tarrot」が再販されたことがきっかけに
世界中でタロットが流行した事も「ウェイト版」がタロットのデファクトスタンダード化に拍車をかけた事は否定できないでしょう。

 

T0211 日本語解説小冊子付【ライダータロット スタンダード】

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ちなみに日本で、今回の「幻影ヲ駆ケル太陽」以外にもアニメ・コミック・ゲームに
よるアレンジが施された版も見掛けられます。かくいう私もタロットカードに触れる
きっかけになったのは、今やゲーム関係のイラストレーターとして著名なTony氏が原画を手掛けた初期の18禁美少女ゲーム
「アルカナ -光と闇のエクスタシス-」の初回限定封入特典の大アルカナセットだったりします。それらアレンジ版の多くは番号(愚者が0、力が8・正義が11)使用されている事、そして構図やアトリビュートから「ウェイト版」をベースにしているものと思われます。

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最期に、今回は取り上げませんが「マルセイユ版」よりも古く、「ウェイト版」にも影響を与えた版として、今のイタリアのミラノ周辺の支配者だった一族の為に
作られたタロットカード「ヴィスコンティ版」というものも存在します。
幻影ヲ駆ケル太陽ファンであればピンと来るかと思いますが、これから始まる
「幻影のメサイア」で未だ謎の多いエティア校長の秘密は明かされるのでしょうか?

 

 

一般的なタロットとエレメンタルタロットとの違い


ズバリ!エレメンタル能力が使えるか使えないかです!
というのは冗談です。うん、使えたらいいな(血みどろの闘いをすることになりそう)

真面目なお話をすると前段で取り上げたように一般的な版には正位置(真正面)と
逆位置(さかさま)でカードが示す意味が異なりますが、それの根拠になったり意味に
強弱を付ける1枚1枚独特の意匠、今風に言えばアイコン、タロット用語としては
アトリビュート(付帯物)というものが設定されています。
その中には紅いバラや白いユリ、ヒマワリやアイリスといった花がアトリビュート
して使われているカードもいくつかありますが、エレメンタルタロットにはそれらに
加えて22枚全てにSMAP槇原敬之)の名曲みたく登場するキャラクターの
イメージや使うタロットにちなんだそれぞれの「花」が割り当てられています。

ここに今回私がこのエントリを編纂する意図があります。
花にはタロットカードと同じように「花言葉」というものが秘められています。
ここまででアニメ本編をご覧になった方ならお分かりかもしれませんが
花言葉はアニメ本編第9話「月の光、太陽の陰」でアマリリスに与えられている花言葉の二つ「おしゃべり」と「強い虚栄心」が挙げられたように二つ以上、場合によってはタロットの正位置逆位置のような意味を持つケースが多く存在します。


次にアニメ・コミックの本編冒頭であかりちゃんがタロット占いをしている様子を思い出してみましょう。ちょうど9話の鍵にもなっている「月」のカードが現れている
事について「無意識の不安」の意で取り上げる直後「直感や夢、想像力の豊かさ」の
意も挙げています。
これらは全て、月のカード固有のアトリビュート「月(とその外縁の光線)」「ザリガニ(蟹)」「二匹の犬(ウェイト版では片方が狼)」「両側の建物(塔)」
からもたらされる意味です。全てヨーロッパの人知・智慧・神話等積み重ねられた上でその意味が与えられており、実際のタロットリーディングの際には単純な位置
の違いで割り切れない他のカードの状況も含めた繊細な判断と緻密な説明が求められます。
エレメンタルタロットには上記の月のカード固有の意に加えて独自のアトリビュートとしてアマリリスも入るので「誇り」「内気」「すばらしく美しい」「おしゃべり」「強い虚栄心」(幻影シリーズオフィシャルサイトより)
といった花言葉に基づく読み方
例えば
・月(Luna)の語に纏わりつく狂気「Lunatics」とアマリリスの持つ「内気」「強い虚栄心」の近い危険な緊張感
・犬のアトリビュートが示す獣性(野性・本能による警戒と心を許した存在に対する人懐っこさ)とアマリリスの「誇り(自尊心)」を絡めて説明
・「ヴィスコンティ版」等では月の女神アルテミスが描かれるなど月が示す女性らしさとアマリリスの「美しい」「虚栄」を絡めた説明

などオーソドックスなタロット、幻影シリーズのキャラクター、エレメンタルタロットのデザインを踏まえたら深く面白いリーディングが出来るではないかと感じています。

それが今回、このようなエントリを起こした理由です。

エレメンタルタロット22枚の意味(正位置/逆位置 花言葉

全22枚を
(タロットの札番号 カード名 正位置での意味 逆位置での意味 花 花言葉 
エレメンタル版アトリビュート ウェイト版アトリビュート)の順に表に纏めた
物が以下になります。
※幻影シリーズオフィシャルサイト カードギャラリーに基づきます。
一般的なタロットとの差異を明瞭にする為、各カードのデザインの説明に基づき挙げられるアトリビュートと現在一般的なウェイト版のアトリビュートも付記しています。

 

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次のエントリでは、幻影ヲ駆ケル太陽アニメ本編で使われたタロット占いのやり方の
紹介やサンプルに基づくリーディング例を紹介していきたいと思います