月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

鴻沼川~(霧敷川~逆川)~鴨川

終わりの始まり

 
今回は、2か月近く前に走った鴻沼用水の終点より下流にある彩湖道満公園と秋ヶ瀬公園に挟まれた埼玉県道さいたま朝霞線の秋ヶ瀬橋交差点がスタート地点です。
 
ここから大宮方面に目を向けるとそこそこの大きさの堰とその脇に河川施設らしきものが見えます。

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これは今回の往路鴻沼川+以前走った鴻沼用水の調製施設で現道に近い高さと車道っぽい幅もあり旧秋ヶ瀬橋に繋がる堤防道路の一部のように思えます。
その堰に向かって県道を浦和側に向かい走り出します。すぐにY字の交差点となりここを左折し今度は桜並木を抱えた橋が現れます。
ここで先程の堰を見ます。改めてここが今日のスタート地点、鴻沼川の終点の鴨川放水口であり終点でもあります。

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鴻沼川の桜並木を走り出したら早速面白いものが目に入りました。今走っている道のすぐ下に藪と化した舗装路が両岸にあるのです。
 
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春が楽しみな並木道、一段下の廃道

 

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先日の鴻沼用水の終点
洪水対策かと思いますが元々住居や施設がギリギリまで迫っているところでもあるのでちがう可能性も。
ちなみにこの区間の名称は「秋ヶ瀬緑道」、中浦和駅近くに看板が設置してあります。
 
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で、ここからですが川沿いには道がなく終点まで川に沿った道は存在しません。地図上では存在してもほとんど砂利道の藪でマウンテンバイクを除く自転車で走る道ではありません。地図を頼りにジグザグに橋を左右に渡りながら進んでいきます。
 
首都高さいたま新都心線と広い県道を渡ると少し景色が開けます。下が調整池、上は公園となっていて子供連れ2・3組が遊んでいました。
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その先で大宮駅方面に曲がると地味に古い橋が交差点手前に見えてきます。名称は「日の出橋」昭和41年竣工です。ここまでくると川というより用水路のレベルです。昭和のコンクリと鋼板による護岸の中に木製の梁があるのが趣深く感じます。
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そして次の橋に来て私は「???」となりました。
キン肉マン……なぜここに?ひょっとしてこのあたりの橋に他の超人もあしらってあるのかッ!?(結果ここだけでした。おかげでますます謎)
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その後も大宮の住宅街をのんびり進みます。
駅前に繋がる拡幅中の大通りを渡り少し行ったところで鴻沼川の横に公園があるところに出くわしました。桜木公園といいます。
が、ここでグンマ……じゃなく埼玉を知ることになるのでした。

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鴻沼川沿いになんか土嚢が積んである。家の工事か何かかな?……
………
……
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「災害復旧工事の為桜木公園が使えなくなります」
かわいい猫耳のマスコットが添えられた臨時の看板には驚きの内容が記されていました。
‐災害復旧?大宮のど真ん中で?新幹線の駅まで1キロないんですがここ‐
 
この土嚢は鴻沼川に隣接する住宅が土手の流出による倒壊を防ぐためのものだったのです。スタート地点からは想像もつかないような小川になっても「川」なんだなと再認識させられました。
気を取り直してのんびり先へ進みます。
 
次はバスもひっきりなしに通る狭い県道がY字に分岐する交差点の脇に出ました。
ここで鴻沼川に目を向けるとこちらもY字に分岐が見えます。橋の名前を確認しようとしたところ目に入ったのは
「きりしきがわ」の文字
あれ?ここは鴻沼川じゃない?それとも分岐の一方?
 
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きりしきがわの文字と羽を休める鳥


よく観察すると大宮市街地に向かう方は地図で全くと言っていいほど後を追えません。
もう一方はあらかじめ確認した通りこのまま線路を潜って上尾方面に向かいます。
この後は住宅と住宅の狭間を流れて埼京線日進駅近くを暗渠で潜ります。
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そのまま大きな企業拠点とマンションを通り、宮原駅近くに
差し掛かったところで再び開けます。そこから暫く川の側道で高崎線に近づき、新大宮バイパス陸橋の下で方向を変え、徐々に線路から離れつつ北北西に向かい、再び道路ではなく住宅やマンションの傍を縫うように「登っていきます」
古い団地のエリアに差し掛かったところで真西に方向を変え鴨川に向かいます。
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ついに分流地点!
と思いきやよくよく見ると鴨川に向かって注ぎ込んでいて想像とは真逆の光景に混乱。
帰ってから調べてみると埼京線を渡った傍にあるマンションと拠点の付近で鴻沼川が終わり、反対方向である鴨川に注ぎ込む別の小川になっていたのでした。
 
 
川越線を渡った辺りで実は入れ替わっていただと!?
驚きの結末に衝撃を受けつつ、上尾方面に向かいます。
農耕地・空き地と住宅が入り混じった郊外の道を緩やかなアップダウンを繰り返しつつ行くと上尾駅の前に出ます。
10年ほど前に1年位この近所にバイトというか仕事で通っていました。懐かしい。
そこからさらに桶川方面にほぼ一直線で伸びる県道を辿って北上します。桶川駅近くまで来ると目の前に木々に包まれた公園が現れ、ここを右折すると桶川駅、私は左側に向かいます。道幅がやや狭く舗装も荒れた道に出ると暫くまっすぐ行きます。電柱の住所標識を見ると「桶川市鴨川」、そうこの近くが鴨川の始点です。正確な始点は捕捉していませんがとりあえず鴨川町1丁目1番地を探します。

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風が語り掛けます。うまい!うますぎる!
と、その前に、目の前に現れたのは強烈な印象を残すCMが名物の埼玉銘菓「十万石饅頭」の看板、そういえばここまでほとんど休憩らしい休憩も昼食も摂らず来たこともあり、せっかくなので十万石饅頭を買って食べようと店に入ります。すると程よくひんやりした店内と麦茶のサービスが用意されていました。
 

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せっかくなので十万石饅頭とミニケーキを麦茶と一緒にいただき、同居の両親への土産に和菓子(和三盆)を買って出ます。
十万石饅頭の真向かいの細い道から探索を続けます。
古い曲がりくねった住宅街を抜けたどり着いた鴨川町1-1には長く続く幼稚園が在りました。湧き水は無さそうですが園庭は広く芋ほり用の畑や大きな木がありました。
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幼稚園前と疑わしい暗渠

 

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暗渠2
今度はここを折り返し地点に鴨川を終点に向かって辿っていきます。
Googleの空撮地図で見ると怪しい暗渠が先ほどの幼稚園近くまで延びています。その暗渠を下り、少し行くと急に目の前が開けます。
突如、川が現れそこに導水管から音を立てて水が勢いよく注がれています。
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何故かカブトムシのモニュメント付きで「カブトムシのオシッコかー!?」と言いたくなるのを堪え、ペースを上げて南下します。
川幅が広がり右岸には散策用の歩道も整備されていて気持ちいいですがあんまり長くは続かず道幅は狭くしまいには草だらけの砂利道となり、先ほど逆川から鴨川に出たポイントの対岸側に出ます。
更に砂利道は続き、一本の橋が見えてきた所で遂に住宅の脇の細い階段で川沿いの道は潰えます。
橋に上がった所で辺りを見回すと緩やかな丘に挟まれた住宅の並びと一本の道標が視界に入ります。
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なぜここに?
「秋葉道」
といっても秋葉原への道ではなく(若干関係ありますが)静岡県浜松市の山奥に本山がある秋葉神社へつながる道という意味の古い道の呼称がなぜここに?
謎が残りました。
 
Wikiなどの情報を集めると正確には遠州の本山ではなく、現在のさいたま市西区中釘にある秋葉神社に繋がる道だったようです。
 
Wiki(上尾宿 名所・旧跡・観光施設)>
  • 庚申塔 :青面金剛像庚申塔。道標を兼ねており、「是従 秋葉へ壱里十二町 ひら方へ壱里八町 川越へ三里 (訳:これより、秋葉へ1里12町、平方へ1里8町、川越へ3里)」と刻まれている。西進すると秋葉(旧・秋葉通り)から平方河岸(現・平方地区)を越えて川越に至る。所在地は上尾市栄町1(「馬喰新田」バス停そば)。
 
上記の距離に近い処が西区中釘の秋葉神社なのです。
 
さらに調べてみると、そこに秋葉神社が勧請されたきっかけとしては遠州の神社(藤枝、飽波神社)が関わっている説(異説として小田原最乗寺の開山了庵禅師が秋葉大権現を勧請)があるとの事で何にしても遠く駿遠の地と繋がりがある事はうかがえます。
 
ちなみに秋葉神社には別の漢字を読み替えておなじ「あきは」とする社がある(長野県、諏訪大社との中間地点で(すわ)とも読み替えられる)のですがこの、飽波神社も「飽き波(あきは)」と読めなくもなく飽波神社の由来には秋葉大権現は出てこないのですが何かしら関係があるのかもしれません。
 
さて、ここで橋を渡り、曲がりくねった上り坂の途中で右折します。学校のグラウンド横を通り、鬱葱とした森が迫るあぜ道に入ります。左側に小さな池が見えます。(三貫清水)案内の看板によれば太田道灌がこの清水を用いた地元民のもてなしに褒美三貫を与えたことに由来するとのこと。
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反対側に目を向けるとヤギがのんびり草を食べていました。鶏ものんびり歩いています。
 
しかしここで川に近い道は終わり車通りの激しい都市部の道を縫うように辿ることになります。大きな国道16号17号バイパスを渡り、中央区白鍬の付近から県道市道をできる限り川に近いところを選んで走ります。埼大通りR463をジグザグに渡りようやく鴨川沿いの道が復活します。ここまでくるとゴールまであともう一息。

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大きな堰
そして無事に完全に日が落ちる前に今日の行程を達成しました。
 
今回、距離の割には大変で走っている最中の収穫は少なかったのですが帰って机上の考察で色々得られ有意義な旅となりました。