月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

ハイ!ろぉど?的Coast to Coast②

 


2日目 日本のチロル~パワースポット~ゆるチャリ

外に目を向けるとこの街道筋に有って「日本のチロル」として最近有名な下栗集落程では無いもののやはり山腹の集落だけあって景色が良い。雲間から見える空も青い。

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部屋の窓からあさイチの光景



ゆっくりと準備を整えて宿を後にするが先程とうって変わって風と雲行きが怪しい。標高は700m位あるところで昨日の雨で寒気が入り込み最低気温予想は一桁だった。

まだ温まらない体で恐る恐る下り始める。

集落からR152に出るとすっかり酷な要素が失った小嵐のバイパスを下っていく。トンネルを抜け、R418と反対方向に向かうと当初逗留するつもりだった遠山郷に差し掛かる。9時だというのに人の姿もすれ違う車もなく淡々と街並みを通り抜けていく。結局、まともに人を見たのは遠山郷からだいぶ離れ坂を登り切った先の集落のバス停前だった。
ほぼ1車線の山岳国道は細かいアップダウンを挟みつつ川沿いを北上していく。川に目をやりながら走ると昨日もそうだけど橋の一部っぽい遺構が所々見られて興味をそそる。更に進むと道はいつの間にか舗装がしっかりした2車線のバイパスに変わり左手に道の駅っぽいものが目に入ってくる。立ち寄ると食堂がメインのその施設は既に廃業しており遠山森林鉄道の遺構を保存する施設と土中から発掘された千年前の巨大なヒノキからこの地の歴史を説くものしか残っていなかった。

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橋?

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復元された林鉄と古代ヒノキ

と、ここで施設を眺めている私を昨日の夕方兵越峠でかわしていったSCOTT乗りの人が追い越していく。どうやら遠山郷で一泊したらしい。後を追う様に私も再びCerasusに跨る。が、先程よりもアップダウンが激しくなり、ペースが落ちる。本来、草木トンネルと繋がるはずだったR474の矢筈トンネルを過ぎると断絶したR152の迂回路たる林道に入りますます登りがきつくなる。変速を目一杯軽くしてもきつい為、昔マウンテンバイクをやっていた時に覚えたジグザグクライムで負荷をかけないダンシングを駆使して何とか登っていく。1時間ほど登り続けると先述の下栗集落から繋がるしらびそ高原への分岐と展望のよい広場に差し掛かる。

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しらびそ高原への分岐前 淋しい地蔵峠

 

多くの車やバイクがそこで曲がり、地蔵峠に進むものは全くいない。いるのは私のようなもの好きな自転車乗りだけのようだ。この日は私と同様に北上するロード乗り数人と南下してすれ違うランドナー乗り数人だった。先程の分岐から少しだけ登るとあとは殆ど下りでその途中に地蔵峠をパスする。程々道幅の有る下りを過ぎると真新しい公衆トイレが現れる。傍にある中央構造線安康露頭の訪問者の為に整備したらしい。

 

 

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安康露頭にトイレ!キレイ!



ここから坂は緩いものの道幅が狭まり崖に沿って下るので見通しも路面状態もかなり悪い。実際、対向して登って来たバイクの一団の後続数台目が100m目前で窪みにバランスを崩し派手に落車し、ライダーがガードレールの隙間から崖に墜ちそうになった場面に遭遇した。酷道マニアから言わせれば昔に比べ大分整備が進んだというR152だがこと二輪車にとってはまだまだ一級の酷道であると再認識させられた。
30分近く下ると大鹿村中心部。車で訪れた過去数回は中央構造線博物館に寄ったが今回は手前で小道に入り古い橋を渡る。橋から東側を向くと南アルプスが雲を纏ってその威容を見せつけていた。

 

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橋から覗く赤石岳 いい感じに朽ちたローゼ橋
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橋の解説と映画のままのディア・イーター


時間を確認すると12時半を回り昼飯時である。橋の傍には映画「大鹿村騒動記」のロケ時の面影を残した食堂「ディアイーター」があるが生憎営業しておらず先を急ぐ。1㎞ほど先に行き、現在道の駅として拡張整備中の店で大鹿村名物の塩を使った塩ラーメンをいただいた。

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山奥でとれた塩を使った塩ラーメン!


ここからこの2番目の峠「分杭峠」への挑戦が始まる。昨日の兵越峠の反省でしっかり補給もして万全の態勢で挑む。午前中の地蔵峠が山肌を這うように曲がりくねって高度を稼ぐのに対しこの分杭峠とその後控える杖突峠は真っすぐじわじわと高度を上げていく。ちょこちょことバイクや四駆を中心に車が行き来するのを交わしながら登っていく。午後3時ちょいに分杭峠を通過。いいペースである。ややペースをあげて日没前の諏訪到達を目指す。

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達成感ありありな私 分杭峠から眺める高遠市

美和ダムダムカードをゲットして高遠市の道の駅で4分の1カットのアップルパイを頬張り、杖突峠を目指す。これまでとうって変わって両側の山並みは穏やかで迫って来ずまばらに続く集落を国道は抜けていく。どの家も大きく。家紋入りの倉を構えているのが印象的である。

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美和ダムの管理棟にあった長野県内のダム地図 うって変わって疲れ気味の私



この杖突峠、標高がこれまでよりも格段に低く登るのは余裕と踏んでいたが思ったよりきつめの坂が延々と続き、脚も消耗していたので意外と苦戦。結局、最高地点に着く頃にははもう日没寸前だった。

 

少し下ると展望台と休憩所があり、展望台ですこしだけ志摩リンな気分を味わう。

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素晴らしい眺めである


ここからが最後の山場、元々舗装状態が悪いと評判の杖突峠の茅野側を下る上、気温が既に一桁を指していた。前後のブレーキを駆使し注意深く降りていく。そして四角いトンネルを越えT字の交差点に達し、この日いやこのライドの勝利を確信し思わずガッツポーズをとってしまった。

そのままR20に侵入し上諏訪駅前に向かう。事前にこの日の宿を決めていた。基本的に素泊まりのビジネス旅館だが諏訪の温泉をきちんと引いておりしかもかけ流しという宿を昨年知人から教わっていたので今回利用させてもらったのだ。予定していた6時半に遅れること30分程で到着すると、さっそく温泉に浸かった。風呂場の傍には洗濯機もあり、二日間の汗にまみれたウェア類を放り込むと浴衣で晩御飯を食べに街に繰り出した。