月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

ボブでマブなネコ

映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』予告 - YouTube

www.youtube.com


私がこのお話を知ったのはビッグイシュー(駅前など路上でホームレスのおっちゃんが販売している雑誌)ですが朝日新聞デジタル

ロンドン版「猫の恩返し」 人生を救われた路上の演奏家:朝日新聞デジタル

でも
取り上げられて、都心の単館系の映画館でも上映が始まっていたので銀座教会や教文館に立ち寄る次いでにシネスイッチ銀座で観賞してきました。

兎にも角にもお勧めしたい。話は実話に基づくものでそれで観てもいいですし、猫のボブ(きちんとした役者の猫6人+ボブ本人)を愛でる為だけでも
楽しい。

詳しい作品内容は紹介記事や公式サイト(bobthecat.jp/)で確認していただくとして幾つか

ビッグイシューが産まれたイギリスの貧困の光景


007などで見慣れたビッグベン周辺や他の映画でも見かけるロンドンらしい景色も登場しますが、本作の冒頭はどん底の主人公とホームレス達の居場所であるストリートと路地裏そしてジャンキーの姿を見せつけられます。

本作を見て楽しいのはそこからドラッグの過剰摂取で入院という転機からカウンセラーの尽力でホームレス生活から脱出、ボブとの出会いや隣人との交流から麻薬の代替治療薬からも完全な脱出と周囲との和解の過程だと思います。

まあネタバレを含むのでここでは割愛します。
本編で主人公は路上演奏から事情有ってビッグイシューの路上販売を始めます。

www.bigissue.jp


この、ビッグイシューという雑誌は日本でもそうですがホームレスの自立支援の為の組織で、幾つかのルールに従って認定された人によって販売されます。
ビッグイシュー誌の販売を通じて労働と収入を得て部屋を借りたりステップアップを図る事が目的となります。
そういう意味で、本作はビッグイシュー誌を通じたサクセスストーリーというか社会復帰のこの上ないモデルケースになります。
(こういう事は本来、キリスト教プロテスタントの中でもイギリス発祥のメソジスト派が取り組むべきことのはずです。そもそもメソジスト運動の得意分野がビッグイシューのような貧困層の社会復帰と参加を手助けする福祉・社会奉仕事業であり、救世軍はそれを突き詰めた分派のハズが今一つパッとしていません。本当に情けない事です)


まあ、それだからこそ今の自分が視るとすごく辛い作品でした。
私はホームレスでも麻薬中毒者でもないですが(別のモノの中毒かも知れませんが)、ここ数か月ここまで身辺状況が悪化するのは10年振りがそれ以上に辛い状況に陥っています。
そんな時に成功、社会復帰の感動物語や(セカンドチャンスはだれにでもある。ただ、モノにできない人が多い)というセリフを聞くと塩の入った氷水を浴びせられるように辛かったです。
どん底というのも人それぞれで這い上がるきっかけというのは本人が掴める時が与えられないとどうにもならないしそれを他人がコントロールすることは困難です。
アドバイスでちょちょいとなるものでもありません。本作の主人公にとってはそれが野良猫のボブとの出会いであり他人の意図はありませんでした。
今の経済優先社会では国を問わずそのきっかけが手に入るまで猶予してもらえる事が難しいのが問題です。
そう言う事からこの主人公に対し、大変な過去を経ての事だったとはいえ嫉妬の混じった羨望の眼差しを向けずにいられません。お恥ずかしながら

しかし、幸いな事に私にも支えて下さる方はいらっしゃるので私も立ち直りたいというか生まれてこの方まっすぐ立てた事がないので何とかして立ちたいです……

話がgdgdになりかけたので軌道修正

人と動物、日本的なカメラ遣いについて


個人的には映像表現(特に2次元)にも興味あるのでそっちネタについて気付いたことも
この作品では猫のボブに小型カメラを付けて撮影したであろう場面が度々出てきて臨場感と猫の視点(気持ち)を味わえるのですが、生々しすぎるというか
ちょっとくどく感じる時がありました。人にカメラを付けて同じことされてもやっぱり感じると思うのですが微妙な顔や体の振りがカメラを通すと強調されてしまい
本人にとっては些細なフェイントなのかもしれませんが一人称視点だと強調されて不快感に繋がるのではないかと思いました?
日本のアニメで猫や動物視点の場面でも巧妙に一人称視点から逃げてそういう不快感を視る人にもたらさない様に設計されているんじゃないかと思ったり

シナリオの抑揚感の不足

同じ様なイベントの繰り返しで愛くるしいボブの生しぐさが無ければちょっと辛いかもしれません。
ハリウッド的な怒涛のクライマックスとかは無くのんびり静かにけれどトラブルもあり-なのが何回も繰り返してエンディングに至ります。
いや、本当にボブの演技というかしぐさは素晴らしいと思います。その不完全燃焼感を忘れられる位の仕草を無理矢理ではなく普通にできるというですから

是非、見るべし