月と太陽と星と水瓶と

飛鳥井誠一のお仕事や近況です。略歴はこちら> http://profile.hatena.ne.jp/A-sky/

ハイ!ろぉど?的Coast to Coast③

3日目 エクストラステージはボーナスではなくボスのオンパレードだよね(死

サブタイトルはシューティングゲームでよくあったですね……


目を覚ますと流石に上半身を中心に疲労が抜けなくなってきていた。

ただ、自転車乗るには十分なコンディションは確保できているので輪行で帰らずにこのまま走る事にした。目的地は一昨日と反対側の海である日本海。ざっと130㎞。
1日目迷って予定より距離乗ったので3日間130㎞×3で390㎞とほぼ400㎞の見込み。

自己最高である。


折角なので朝風呂と洒落込む。お湯も昨夜に比べて心なしか優しい感じで体がゆっくりと目覚めていく。素泊まりの宿だったので朝食をコンビニで済ませて出発し、湖畔を流してから塩尻峠に挑む。峠とはいえ、高低差は昨日まで越えた峠に比べたら遥かに緩いのでゆっくり確実に登っていく。途中大型タンク車に50㎝位すれすれで抜かれたりヒヤヒヤな場面もあったけど1時間足らずで頂点を越える。下りは車だとかなり高速ステージな峠であるが今日は安全第一、スピードを抑えて路肩側に溜まった冬場の砂利に乗らない様に降りていく。すると途中に小洒落たワイナリーを見つけた。いつの間に始めたのか?

f:id:A-sky:20180513144433j:plain
f:id:A-sky:20180513144427j:plain
f:id:A-sky:20180513144442j:plain
塩尻峠 諏訪湖畔 サンサンワイナリー




気になったので立ち寄ると駐車場から眺める北アルプスの眺めがとても良い。
レストラン兼ショップそして駐車場の袂には垣根づくりの畑が広がる。
スタッフに話を聞くとかつてマンズワインキッコーマンの系列のワイナリー)で腕を振るった人が最後の仕事として手掛けたところだそう。
個人的には好きな筋なので日を改めて訪れたい場所であった。
(今の日本ワインの技術的な側面を語る時にマンズの功績は他のメジャーよりはるかに大きい)

塩尻~松本の車の波を何とか潜り抜け犀川沿いに出る。ちょっと遠回りしつつ大町方面へのメインルート県道51号線で北上しようとする。
いつもだと車で渋滞も殆どない快走路であり、ガンガンスピード上げていこうとしたが思わぬ強敵に苦戦を強いられることになってしまった。
それは自転車の大敵、向かい風。しかも民家に据え付けられた5m近い鯉のぼりが元気に泳ぐ位になる強風。真直ぐ前進むのも覚束ない所まで追い込まれ、路面状態も車では気がつかなかったけれど全体的に舗装が波打っていて走り辛い。補給ポイントである池田町のJAファミマに着く頃には余裕が全くない状態だった。
その後は多少風は収まったが、大町中心部を過ぎる辺りから再び強まり四苦八苦。

木崎湖名物の縁川商店に着く頃には予定より1時間の遅れとなっていた。
だが、そこまで苦労した後に食べる小石のうどん*1は格別だった。
ここのお姉さんは私が浜松~糸魚川挑戦しているといったら直ぐ「中央構造線走ってるんだ~すごーい」とすぐ察してくれて嬉しい。

f:id:A-sky:20180513144447j:plain
f:id:A-sky:20180603183730j:plain
f:id:A-sky:20180513144454j:plain
途中渡った橋の中心からの北アル 小石のうどん(再訪時の画像) 木崎湖

縁川商店を後にして白馬を目指す。青木湖までじわじわと高度を上げていく。眼下には休耕田一面に菜の花が咲き、遅い春を謳歌している。
連続した青木湖トンネルを越え、緩やかなヘアピンカーブで白馬村に降りていく。道の駅白馬で土産を買って18時糸魚川着を目標に走り続ける。川を渡る様に掲げられた鯉のぼりと背後の白馬の山々のコントラストに感動したりしつつ栂池高原を過ぎ、南小谷駅を通過する。ここからが次なる地獄の始まりだった。

f:id:A-sky:20180513144501j:plain
f:id:A-sky:20180513144507j:plain
鯉のぼりの橋?といかにもな古い橋 この後の地獄は……

「トンネル内、歩行者・自転車に注意!!」という警告看板が目に入る。こういう看板が掲げられたトンネルは大概、距離の割に狭くて歩道や自転車が走れるような路側帯が無いと相場が決まっている。だが、地図を見ても他にまともそうな道が無い為突入。案の定、交通量の割に狭いし、アップダウンはあるし、路肩は煤けていて滑りやすくめちゃくちゃ走りにくかった。挙句の果てに自転車殺しの縦グルービングが施された箇所もあり何度となく下りでも恐る恐る徐行で走る事になった。

長いトンネルを何度か抜けて道の駅小谷で堪らず休憩をする。時間的というより精神疲労で中の店を覗く気力が湧かない。
多少気持ちを落ち着かせてから再び走り出すと直ぐに左側に使われていない長大隧道というかスノーシェッドが有って「そういえば、山さいがねがにこの辺りの隧道レポあったなぁ」と思い出し少しそそられるが再び始まったトンネル地獄ですっかり忘却の彼方へ。ちなみに帰宅して数日後に確認したら物件的にジャストミートかつ身震いするようなレポがヒットして驚いた。

yamaiga.com


トンネルを使ったルートしかヒットせず山越えか川伝いの旧道が影も形もない
理由がこれだったのか……


先程よりスノーシェッド率が上がり、右側に少し外の景色が見えるが目の前の路面状態の悪さと交通量に悲鳴を上げながら必死に自転車を漕ぐ。
トンネル地獄を抜け切る頃には空は茜色に染まりつつあった。

f:id:A-sky:20180513144525j:plain
f:id:A-sky:20180513143752j:plain
f:id:A-sky:20180513143745j:plain
塩の道 走る中央構造線w 地獄を抜けた直後、夕暮れのR148

姫川はその名と裏腹に所々に巨岩が点在したり流れが激しい。そして千国街道も変わらず車通りが激しい。
姫川の土手沿いによさげな道を見つけると堪らず避難する。途中未整備で迂回もしたがお陰でR8近くまで楽に走ることが出来た。
そして、18:10。姫川港で海面タッチ!

f:id:A-sky:20180513143801j:plain
f:id:A-sky:20180513143813j:plain
f:id:A-sky:20180513143822j:plain
夕暮れの姫川。大きな石だらけ 姫川港タッチ! この辺り

天竜川河口近くの太平洋~姫川近くの姫川港で日本海2泊3日縦断凡そ400㎞達成!

 

f:id:A-sky:20180603192349j:plain
f:id:A-sky:20180603192343j:plain
f:id:A-sky:20180603192335j:plain
f:id:A-sky:20180603192329j:plain
f:id:A-sky:20180603192322j:plain
桁が跳んだ総走行時間とか



ちなみに業界的にこういうのCoast to Coast というらしい。
奇遇ですがこの日の為に修理を兼ねて交換したフロントフォーク。本来セットされていた自転車は10年前のBianchiロードバイクで、今回その放出品らしきものをネットオークションで入手してつけたのですが、調べてびっくり!そのコンセプトがまさにこのCoast to Coast。

https://www.cycleurope.co.jp/2008/928105.html

付き合って1年のCerasusとの一つの集大成となりました。

 

f:id:A-sky:20180603191745j:plain
f:id:A-sky:20180603191812j:plain
買って間もない頃 そしてC2Cの2週間後に小熊山登った時のCerasus

 

達成感と充実した3日間だった。
ただまあ、峠5発はともかく千国街道のトンネル地獄はもう二度と味わいたくないので2度目は無いな(ばたり

*1:知らない人は少ないと思うけど小石のうどんとは縁川商店(正式名称:Yショップ ニシ)が登場したアニメの登場人物にちなんだ温玉乗せカレーうどん
画像は別件で2週間後に再訪した際のもの

ハイ!ろぉど?的Coast to Coast②

 


2日目 日本のチロル~パワースポット~ゆるチャリ

外に目を向けるとこの街道筋に有って「日本のチロル」として最近有名な下栗集落程では無いもののやはり山腹の集落だけあって景色が良い。雲間から見える空も青い。

f:id:A-sky:20180513144215j:plain

部屋の窓からあさイチの光景



ゆっくりと準備を整えて宿を後にするが先程とうって変わって風と雲行きが怪しい。標高は700m位あるところで昨日の雨で寒気が入り込み最低気温予想は一桁だった。

まだ温まらない体で恐る恐る下り始める。

集落からR152に出るとすっかり酷な要素が失った小嵐のバイパスを下っていく。トンネルを抜け、R418と反対方向に向かうと当初逗留するつもりだった遠山郷に差し掛かる。9時だというのに人の姿もすれ違う車もなく淡々と街並みを通り抜けていく。結局、まともに人を見たのは遠山郷からだいぶ離れ坂を登り切った先の集落のバス停前だった。
ほぼ1車線の山岳国道は細かいアップダウンを挟みつつ川沿いを北上していく。川に目をやりながら走ると昨日もそうだけど橋の一部っぽい遺構が所々見られて興味をそそる。更に進むと道はいつの間にか舗装がしっかりした2車線のバイパスに変わり左手に道の駅っぽいものが目に入ってくる。立ち寄ると食堂がメインのその施設は既に廃業しており遠山森林鉄道の遺構を保存する施設と土中から発掘された千年前の巨大なヒノキからこの地の歴史を説くものしか残っていなかった。

f:id:A-sky:20180513144224j:plain

橋?

f:id:A-sky:20180513144255j:plain

f:id:A-sky:20180513144301j:plain

f:id:A-sky:20180513144241j:plain

f:id:A-sky:20180513144247j:plain

復元された林鉄と古代ヒノキ

と、ここで施設を眺めている私を昨日の夕方兵越峠でかわしていったSCOTT乗りの人が追い越していく。どうやら遠山郷で一泊したらしい。後を追う様に私も再びCerasusに跨る。が、先程よりもアップダウンが激しくなり、ペースが落ちる。本来、草木トンネルと繋がるはずだったR474の矢筈トンネルを過ぎると断絶したR152の迂回路たる林道に入りますます登りがきつくなる。変速を目一杯軽くしてもきつい為、昔マウンテンバイクをやっていた時に覚えたジグザグクライムで負荷をかけないダンシングを駆使して何とか登っていく。1時間ほど登り続けると先述の下栗集落から繋がるしらびそ高原への分岐と展望のよい広場に差し掛かる。

f:id:A-sky:20180513144323j:plain
f:id:A-sky:20180513144336j:plain
しらびそ高原への分岐前 淋しい地蔵峠

 

多くの車やバイクがそこで曲がり、地蔵峠に進むものは全くいない。いるのは私のようなもの好きな自転車乗りだけのようだ。この日は私と同様に北上するロード乗り数人と南下してすれ違うランドナー乗り数人だった。先程の分岐から少しだけ登るとあとは殆ど下りでその途中に地蔵峠をパスする。程々道幅の有る下りを過ぎると真新しい公衆トイレが現れる。傍にある中央構造線安康露頭の訪問者の為に整備したらしい。

 

 

f:id:A-sky:20180513144340j:plain

安康露頭にトイレ!キレイ!



ここから坂は緩いものの道幅が狭まり崖に沿って下るので見通しも路面状態もかなり悪い。実際、対向して登って来たバイクの一団の後続数台目が100m目前で窪みにバランスを崩し派手に落車し、ライダーがガードレールの隙間から崖に墜ちそうになった場面に遭遇した。酷道マニアから言わせれば昔に比べ大分整備が進んだというR152だがこと二輪車にとってはまだまだ一級の酷道であると再認識させられた。
30分近く下ると大鹿村中心部。車で訪れた過去数回は中央構造線博物館に寄ったが今回は手前で小道に入り古い橋を渡る。橋から東側を向くと南アルプスが雲を纏ってその威容を見せつけていた。

 

f:id:A-sky:20180513144346j:plain
f:id:A-sky:20180513144354j:plain
橋から覗く赤石岳 いい感じに朽ちたローゼ橋
f:id:A-sky:20180513144400j:plain
f:id:A-sky:20180513144405j:plain
橋の解説と映画のままのディア・イーター


時間を確認すると12時半を回り昼飯時である。橋の傍には映画「大鹿村騒動記」のロケ時の面影を残した食堂「ディアイーター」があるが生憎営業しておらず先を急ぐ。1㎞ほど先に行き、現在道の駅として拡張整備中の店で大鹿村名物の塩を使った塩ラーメンをいただいた。

f:id:A-sky:20180513144415j:plain

山奥でとれた塩を使った塩ラーメン!


ここからこの2番目の峠「分杭峠」への挑戦が始まる。昨日の兵越峠の反省でしっかり補給もして万全の態勢で挑む。午前中の地蔵峠が山肌を這うように曲がりくねって高度を稼ぐのに対しこの分杭峠とその後控える杖突峠は真っすぐじわじわと高度を上げていく。ちょこちょことバイクや四駆を中心に車が行き来するのを交わしながら登っていく。午後3時ちょいに分杭峠を通過。いいペースである。ややペースをあげて日没前の諏訪到達を目指す。

f:id:A-sky:20180518200207j:plain
f:id:A-sky:20180513144113j:plain
達成感ありありな私 分杭峠から眺める高遠市

美和ダムダムカードをゲットして高遠市の道の駅で4分の1カットのアップルパイを頬張り、杖突峠を目指す。これまでとうって変わって両側の山並みは穏やかで迫って来ずまばらに続く集落を国道は抜けていく。どの家も大きく。家紋入りの倉を構えているのが印象的である。

f:id:A-sky:20180513144128j:plain
f:id:A-sky:20180513144119j:plain
f:id:A-sky:20180518234352j:plain
美和ダムの管理棟にあった長野県内のダム地図 うって変わって疲れ気味の私



この杖突峠、標高がこれまでよりも格段に低く登るのは余裕と踏んでいたが思ったよりきつめの坂が延々と続き、脚も消耗していたので意外と苦戦。結局、最高地点に着く頃にははもう日没寸前だった。

 

少し下ると展望台と休憩所があり、展望台ですこしだけ志摩リンな気分を味わう。

f:id:A-sky:20180513144208j:plain
f:id:A-sky:20180513144200j:plain
f:id:A-sky:20180513144142j:plain
素晴らしい眺めである


ここからが最後の山場、元々舗装状態が悪いと評判の杖突峠の茅野側を下る上、気温が既に一桁を指していた。前後のブレーキを駆使し注意深く降りていく。そして四角いトンネルを越えT字の交差点に達し、この日いやこのライドの勝利を確信し思わずガッツポーズをとってしまった。

そのままR20に侵入し上諏訪駅前に向かう。事前にこの日の宿を決めていた。基本的に素泊まりのビジネス旅館だが諏訪の温泉をきちんと引いておりしかもかけ流しという宿を昨年知人から教わっていたので今回利用させてもらったのだ。予定していた6時半に遅れること30分程で到着すると、さっそく温泉に浸かった。風呂場の傍には洗濯機もあり、二日間の汗にまみれたウェア類を放り込むと浴衣で晩御飯を食べに街に繰り出した。

 

 

ハイ!ろぉど?的Coast to Coast①

C2C

シートゥーシーと聞いて
・Consume to Consumerが浮かぶ人は経済・流通関係
・イギリスの鉄道が浮かぶ人は鉄分高め
・Coast to Coastが浮かぶ人は自転車(ロングライド)な人

今回は、3番目の自転車な話。

高校生時代のマウンテンバイクそして大学サークルでのツーリングから、久方振りに自転車趣味を復活させて1年。
その時選んだCerasusでなんだかんだと100㎞オーバーも達成。
ぶっちゃけた話、近所のディスカウントストアが出したロードルックな自転車でまあ、内容の割には安かったのですが自社内施設で研修させた整備士配置とかいう割に初期整備もせずに引渡しとかされて自分で整備したり色々弄る内に最近お世話になる店と出逢って面倒看てもらうようになったりいろいろあったなぁ(遠い目

今回のそもそもの切っ掛けは、昨年Cerasusに乗る前後から自転車モノの話を書いてみたい考えが浮かび、ロードレース・バトルは幾つかある(弱●ペダルやは●めとか)ロングライドはいわずもがな(平仮名なアレ)だったのでここ数年の興味でもある酷道や廃道探索と組み合わせてみようと思い付き、酷道の中でも好きな国道152号線周辺を舞台にしてみたらと思い付いた所から始まる。
書き始めて一部は投稿したもののそれと前後してプライベートが完全に崩壊して大きく体調を崩し、更新が宙に浮いているのが現状。

で、引越しやら仕事などプライベートを立て直しながら「仕切り直すなら主人公たちに走らせようとした道をきちんと走った方が良いよな」と計画を始め、ふと「浜松から上田はやりすぎかもだけど諏訪まではやろうかな」と呟いたら「あれ?Coast to Coastやらないんですか?」と背中押されたのが今回の伏線に。

いきなり雨ザーザー!浜松で道を間違える!

5/3
起きると土砂降り一歩手前の雨、前途多難。
気を取り直して準備を始め、包装ラップで防水対策をして家を出ると30分遅れ。某駅で自転車バラシて東京へ向かうが追い越していく上野東京ラインの電車の混みっぷりに嫌な予感。
東京駅着くと6時半だというのにすごい混雑。やはりGWだ。事前に準備していた切符でサッサと改札くぐると浜松に一番早く着けるひかり号のホームへ

一番出入りが少なそうな出入口脇に固定して乗車。が、結果としては失敗で思いのほか邪魔っぽかったみたいで申し訳ない事に(ベビーカーの人とか大変そうだった)車窓に映る景色と空は徐々に行楽日和っぽくなっていく。デカい川をいくつも渡ると静岡に入った気がする。

f:id:A-sky:20180513151108j:plain

愛車のニックネームの由来となったヒロインをあしらったウェアを纏い自信満々






浜松で降りるとそのまま改札へ。最初は東海道線弁天島天竜川で行ってスタートしようと思ったものの乗り換えが面倒になり浜松スタートへ。
駅前では法被に身を包んだ男性やら飾りがされていて祭が有るらしい事は分かる。が、これが最初のトラップにつながる事になろうとは思いもよらなかった……

組み立てているとお仲間みたいな輪行の人も見掛けたけど小心者なので声かけられずに出発。走り始めの交差点で地元民っぽいオッチャンに「カッコいいなオイ」と声掛けられるいや、このウェアですので可愛いと言ってほしかったかなと。さて、川沿いに出て流していくとあっという間に長閑な郊外へ。車や街の喧騒が無く鳥のさえずりが響き、目の前をイタチやカニが横切っていく。
同じ政令指定都市とは思えない。

R1バイパスを潜り南進すると最初のターニングポイントが近づいて……いやちょっと待て!

祭りの道路規制で迂回指示とかでポイントの公園で誘導している。
誘導の指示が面倒だったのでUターンしたがこれがミスった。
海に近づくつもりが気がつくと新幹線の高架が見える所まで北上してしまい慌てて修正、
丸々1時間ロスする羽目に。
やっちまった後に海に向かう道途中にはガソリンスタンドが「やきとりはじめました」って貼り紙出しててわけわからん。浜松だし餃子じゃないの(そう言う事じゃない)

f:id:A-sky:20180513143855j:plain

「焼き鳥始めました」って冷やし中華ちゃうわ

 

f:id:A-sky:20180513143900j:plain
f:id:A-sky:20180513143906j:plain
津波対策のスーパー堤防から眺める大雨直後の太平洋でタッチ



結局ちょうど11時に天竜川河口そばの太平洋に
お触りしてから出発して天竜川の土手沿いを走る。

晴れそうで晴れないけどお陰で汗をかかずに済んで助かる。古風な橋(掛塚橋
)を渡りながら鑑賞して一旦磐田市側へ渡り天竜川沿いに北上する。

f:id:A-sky:20180513143918j:plain

掛塚橋
f:id:A-sky:20180513143926j:plain
f:id:A-sky:20180513143943j:plain
f:id:A-sky:20180513143954j:plain
月!未成線の路盤!ダム汁ぷしゃああっ!




天竜浜名湖鉄道線と共に山が迫りいよいよ天竜区。山岳区間の幕開け。
天竜二俣駅傍のコンビニで休憩と補給をする。
この後の補給を考え軽く小弁当一つ。これが後々響く事になるとは神ならぬ(以下略


船明(ふなぎら)ダムを越え「月」に向かってみたり幻の国鉄佐久間線橋梁を活用した橋を渡ってみたりして奥へ奥へと進んでいく。途中で幾つか通行止めの看板は見たがGW明けの工事の予告ばかりでスルー。が、秋葉ダム横のトンネル内交差点で県道側へ誘導される。大雨のせいか土砂崩れで通行止めの迂回が発生していた。しかも看板で「30分ごとの交互通行なのでお待ち下さい」とのことだが走って納得。迂回路の県道r285は基本的に離合不可な狭路だった。多少のアップダウンはあるものの走りにくくない道だったので車にペースを合わせてパスする。龍山の瀬尻橋から再びR152へ入り補給地点の水窪を目指す。

f:id:A-sky:20180513144008j:plain
f:id:A-sky:20180513144012j:plain
f:id:A-sky:20180513144019j:plain
f:id:A-sky:20180513144035j:plain
f:id:A-sky:20180513144031j:plain
f:id:A-sky:20180513144026j:plain
車だと見過ごす素敵な発見。鏝絵

途中の祠の鏝絵(こてえ)に感心しつつ、水窪に入る。が、ここで問題発生。
補給ポイントに予定していた道の駅的な地域施設が臨時休業。うどん屋も閉まっている。ともかくベンチで一服すると観光客っぽいおっちゃんに「ひょっとしてブルべとかやっているんですか。いいですね。私も興味あるんですよ~」と声をかけられる。いや、私がやっているのはただのロングライド敢えて言うならC2Cチャレンジなんだけど。

気を取り直してBICYCLEPLUS誌の記事で見かけた栃餅屋「小松屋」さんに立ち寄って自慢の栃餅を買ったりスイーツ的な生栃餅をその場で頂く。とろけそうな柔らかさの餅と生クリームが印象的だった。

f:id:A-sky:20180513144055j:plain
f:id:A-sky:20180513144102j:plain
水窪駅へ渡る歩道橋、秘密の入り口っぽい 手前左が生栃餅

いよいよ、1日目のクライマックスである草木トンネル・兵越峠へ進む。じわじわと勾配と道幅が厳しくなっていく。青崩峠分岐で急に前が開け、三遠南信道になり損ねた巨大な道路遺構が現れる。車では何度か味わったが今回、これを自転車で初めて堪能する。

f:id:A-sky:20180513143843j:plain

割と有名なポイント

鬱葱とした山野の中に忽然と現れた高速道路並みの橋梁と、そこに刺さる勾配9‰の標識が私を威嚇するが気にせず登っていく。まあ、体力と時間的にリミットが見えてきていて青崩方面に寄り道する余力が無かったのも理由。

登り勾配はあるけれど流石元々自動車専用道用に作られただけあって走りやすくあっさりと草木トンネルも通過。自作品の主人公が心折れた未供用の空き地を横目に私は兵越林道へ。日もいよいよ陰って来ていた。

兵越林道に入るとS字カーブやヘアピンが無くほぼ直線でグイグイ高度が上がっていく。目の前に延々と続く登り坂にいよいよ心折れペダルから脚を離してしまう。水分を補給しつつ休み休み歩いて勾配が緩んだ所で再度自転車に跨って漕ぐ繰り返しをして前に進むが脚を止めると眠くなってくる。というか歩くのもかったるくなってきた。ここで、私は補給に失敗したことによりハンガーノックに陥っている事に気付き、エネルギーバーや宿まで取っておこうと思っていた栃餅を食べるが限界まで減ったエネルギーを満たすには程遠く、追い打ちをかける様に急速に気温が落ちる事で体力の低下も起きていく。
峠まであと少しの筈だが先に進めず呆然としている傍をSCOTTを駆るローディなお兄さんが通り過ぎていく。せめて峠のてっぺんまで乗せてもらえそうな軽トラやトラック、そもそも車も通らない。最後の力を振り絞り歩き出す。するとそれまでほぼ直線だった林道が急な左のヘアピンカーブで高度をさらに上げ始めた。過去に車で何度か通った記憶が頂上まで1㎞ない事を告げる。
ビンディングシューズでペンギンのような歩みで何とか登り切った頃には空はほぼ群青色に染まり茜色は僅かに遠くの稜線に残るのみだった。
私は想定した最悪に近い条件下の初ダウンヒルに意を決してスタートし、宿へ急ぐ。
青崩峠により断絶したR152に下る途中の此田(このた)集落に何とか辿り着き、集落で唯一の民宿に辿り着く頃には真っ暗で僅かな街灯がこれほど頼もしく思える事は無かった。

宿に着くとお風呂にありつき、中央構造線のエネルギーを取り込んだかのような濃厚な味わいのシイタケに圧倒されつつ晩御飯をパクついた。

 

Spring(春) Jump!

久しぶりの更新です。

引越してもうすぐ半年になろうとしています。
1月は初日の出観に出かけたり自転車で転倒して両手打撲したり
スマホ機種変したり色々な事が有りましたが
何とか今年9月までの仕事も確定したので一息付けます。

昨年特に後半全くと言っていいほど手が付かなかった執筆活動も
リハビリがてら徐々に始めていて、もう少ししたら更新も再開できそうです
もっとも昨年、書いた分のリライトからになりそうですが

ロードバイク1周年

そして、うちにロードバイク(ルックモデルですが)Cerasusをお迎えして1年になります。
※ルックと言ってもお高いおフランスのカーボンぢゃないですよ。見た目だけロードって意味だからね念の為!

(ルックモデル)と敢えて付けましたが、買った店のシリーズ後継品やネットやスーパーのイ●ンで安売りされているものに比べたらモノはまだマシです。そりゃ、メーカー製のロードバイクには劣りますけれど。ただ、1年前の時点では値段と内容、デザイン的に満足できるシロモノだったので後悔はしてません。お店の人や高いロード乗ってる人と話しても色については評価してくださる方多いですし。
ただし買った店は自転車整備士居るとなっていたにもかかわらず、昔マウンテンバイクやってた私から分かる程度に初期整備せずに引き渡された事は忘れません。
やはり、ディスカウントストアの自転車売り場は駄目なんだなぁ。
先日、そこから保険付きの1年点検(しかも有料)の案内が送られてきましたが当然ゴミ箱にサヨウナラ。まあ、うちの辺りは自転車も傷害保険義務付けられたので車の任意保険に特約で付けたし、整備は同じお金出すならきちんとしたお店にお支払いしたいですしね。

で、そんな出会いから最近お世話になっている「個人経営」の専門店さんで面倒見てもらって調整やパーツ交換してもらったお陰でそこら辺の自転車のチェーン店で積まれているロードバイク並みにはなった気はします。

ただ、バイクが良くなっても肝心の人がしっかりしないと無駄です。
ちょっと自転車齧った人間にこき下ろされるドッペルギャンガーという自転車ブランドが有りますがそこの箱に刻まれている言葉はこういう時に真理です。
「自転車が走る速さを決定するのは、自転車ではなく(乗る人)です。そして、大切なのは、自転車に乗ってどこへ行き、行った先でどのようなドラマを生み出せるのか」


軽くて硬い部品を集めれば多少はよくなるのかもしれませんが結局のところ人次第なのは確かですしちょっと輪行して山を集中して走ってこようかと考えています。というか登れないと5月に計画しているツーリングが不可能になりますし頑張らないと……

山・峠・坂を登れば今度は下りが待っています。そこで問題になるのはブレーキ。山道は都心の坂と違って真っすぐではなく九十九折で標高を下げていくので要所要所でブレーキが利かないと止まれず転落してしまいます。
流石に買ったままの安物では平地ではまだ使えるんですが、いくらレバー握ってもぐんにょりした感触でちっとも効く感じが無くて本当に落ちそうなので近日交換します。
こうやって地味にお金が飛んでいくので沼。やはり自転車趣味はクソ(どこかのマンガ・アニメじゃないですが)

Coast 2 Coast? 天空へのヒルクライム

ちなみに5月のツーリングというのは標高1000mを越える峠が4か所も待ち構えている秘境?泊りがけ200㎞の旅です。というかロケハンです。
去年始めたものの諸事情で止まっている自転車冒険ものの小説のロケハンです。
何度か、その道自体は車で走った事はあるのですが正直、車でも面倒くさい道です。秘境なのでコンビニも1軒あるかないかです。ガソリンスタンドもファミレスもスーパーも無いので補給も大変です。まあ、そんな所をJK3人組に走らせようなんて酷な事考えているので私もやらないとアカンかなぁと……
まあ、ふと漏らしたら「あれ?太平洋と日本海にタッチ(Coast to coast)じゃないの?」という声が聞こえて来たりしてアレ。そんな声に押されて内陸の駅から浜名湖と太平洋に挟まれた駅を始点に考え始めたり、宿探しから(この宿だと翌日林道そのまま行った方が標高1900m越えるけど後は下り同然だし景色良さそう)などと余計な苦行を背負いそうになってるし、やはり自転車乗りは私も含めてクソ(しつこい

まあ、今後ははその進捗とかいろいろお知らせできればと思っていたりしますのでどうかよろしく

新年安堵近況

謹んで新年のご挨拶申し上げます。

今年は去年より平穏に過ごせたらいい……な

全部書くときりがないのでざっくりと更新

 

まあ新しい仕事やら、引越し~ネット復旧まで1か月近くかかったりで11月半ば過ぎて漸く落ち着いてきた所です。

  • お手伝い

年末、御世話になっている方のサークルが出している同人ノベルゲームのデバッグといいますか文章まわりの点検(誤字脱字)をさせていただきました。

他に参加されている方が凄い方多くて恐縮でした。

  • 自転車

引越し前の片づけで旧家に出かけた帰りに自分の作品の舞台にしている浜名湖周辺(というか周遊自転車道)を
回ったり、大正・昭和・平成三代のトンネルを味わえる宇津ノ谷峠寄ったりしたのが9月。
11月に入りフラフラと和光市周辺流したり、11月一杯で閉鎖となる「赤城クローネンベルグ」まで凡そ100㎞、最後登り
なんて事をしたのがここ最近の事。

9月にフラフラと伊東まで外湯入りに行ったり、末に最後の帰省をしたり色々。
10月半ばに諸事情により実家に引っ込んでしまった昔の職場の同期と台風迫る中長野に旅行した。

  • ネット

アパートから(賃貸だけど)マンション引越しに伴い、使えなくなったA社の戸建て光からS社の光へ変更。
NTTの屋内配線孔介してファイバーを直接引き込む事で悪名高いフ〇ッツ光マンションタイプ以外で7階建てマンションまで施工可能というシロモノ。
まあ、普通に使えてます。

  • 妄想というか執筆

上記の影響でここ半年頓挫してますが、書く種は溜まる一方だし、書きたいので日常業務との兼ね合いを見定めつつ復旧させます。

「ハイ!ろぉど?」以外にも「望失の幻燈機(ファンタズマゴリア)」、他にもまだまだあるんでこのまま終わらせる気は更々ないです

 

今年一年よろしくお願いします。

 

ボブでマブなネコ

映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』予告 - YouTube

www.youtube.com


私がこのお話を知ったのはビッグイシュー(駅前など路上でホームレスのおっちゃんが販売している雑誌)ですが朝日新聞デジタル

ロンドン版「猫の恩返し」 人生を救われた路上の演奏家:朝日新聞デジタル

でも
取り上げられて、都心の単館系の映画館でも上映が始まっていたので銀座教会や教文館に立ち寄る次いでにシネスイッチ銀座で観賞してきました。

兎にも角にもお勧めしたい。話は実話に基づくものでそれで観てもいいですし、猫のボブ(きちんとした役者の猫6人+ボブ本人)を愛でる為だけでも
楽しい。

詳しい作品内容は紹介記事や公式サイト(bobthecat.jp/)で確認していただくとして幾つか

ビッグイシューが産まれたイギリスの貧困の光景


007などで見慣れたビッグベン周辺や他の映画でも見かけるロンドンらしい景色も登場しますが、本作の冒頭はどん底の主人公とホームレス達の居場所であるストリートと路地裏そしてジャンキーの姿を見せつけられます。

本作を見て楽しいのはそこからドラッグの過剰摂取で入院という転機からカウンセラーの尽力でホームレス生活から脱出、ボブとの出会いや隣人との交流から麻薬の代替治療薬からも完全な脱出と周囲との和解の過程だと思います。

まあネタバレを含むのでここでは割愛します。
本編で主人公は路上演奏から事情有ってビッグイシューの路上販売を始めます。

www.bigissue.jp


この、ビッグイシューという雑誌は日本でもそうですがホームレスの自立支援の為の組織で、幾つかのルールに従って認定された人によって販売されます。
ビッグイシュー誌の販売を通じて労働と収入を得て部屋を借りたりステップアップを図る事が目的となります。
そういう意味で、本作はビッグイシュー誌を通じたサクセスストーリーというか社会復帰のこの上ないモデルケースになります。
(こういう事は本来、キリスト教プロテスタントの中でもイギリス発祥のメソジスト派が取り組むべきことのはずです。そもそもメソジスト運動の得意分野がビッグイシューのような貧困層の社会復帰と参加を手助けする福祉・社会奉仕事業であり、救世軍はそれを突き詰めた分派のハズが今一つパッとしていません。本当に情けない事です)


まあ、それだからこそ今の自分が視るとすごく辛い作品でした。
私はホームレスでも麻薬中毒者でもないですが(別のモノの中毒かも知れませんが)、ここ数か月ここまで身辺状況が悪化するのは10年振りがそれ以上に辛い状況に陥っています。
そんな時に成功、社会復帰の感動物語や(セカンドチャンスはだれにでもある。ただ、モノにできない人が多い)というセリフを聞くと塩の入った氷水を浴びせられるように辛かったです。
どん底というのも人それぞれで這い上がるきっかけというのは本人が掴める時が与えられないとどうにもならないしそれを他人がコントロールすることは困難です。
アドバイスでちょちょいとなるものでもありません。本作の主人公にとってはそれが野良猫のボブとの出会いであり他人の意図はありませんでした。
今の経済優先社会では国を問わずそのきっかけが手に入るまで猶予してもらえる事が難しいのが問題です。
そう言う事からこの主人公に対し、大変な過去を経ての事だったとはいえ嫉妬の混じった羨望の眼差しを向けずにいられません。お恥ずかしながら

しかし、幸いな事に私にも支えて下さる方はいらっしゃるので私も立ち直りたいというか生まれてこの方まっすぐ立てた事がないので何とかして立ちたいです……

話がgdgdになりかけたので軌道修正

人と動物、日本的なカメラ遣いについて


個人的には映像表現(特に2次元)にも興味あるのでそっちネタについて気付いたことも
この作品では猫のボブに小型カメラを付けて撮影したであろう場面が度々出てきて臨場感と猫の視点(気持ち)を味わえるのですが、生々しすぎるというか
ちょっとくどく感じる時がありました。人にカメラを付けて同じことされてもやっぱり感じると思うのですが微妙な顔や体の振りがカメラを通すと強調されてしまい
本人にとっては些細なフェイントなのかもしれませんが一人称視点だと強調されて不快感に繋がるのではないかと思いました?
日本のアニメで猫や動物視点の場面でも巧妙に一人称視点から逃げてそういう不快感を視る人にもたらさない様に設計されているんじゃないかと思ったり

シナリオの抑揚感の不足

同じ様なイベントの繰り返しで愛くるしいボブの生しぐさが無ければちょっと辛いかもしれません。
ハリウッド的な怒涛のクライマックスとかは無くのんびり静かにけれどトラブルもあり-なのが何回も繰り返してエンディングに至ります。
いや、本当にボブの演技というかしぐさは素晴らしいと思います。その不完全燃焼感を忘れられる位の仕草を無理矢理ではなく普通にできるというですから

是非、見るべし

エレメンタルタロットの使用法(2/2)

さて、前回に引き続きエレメンタルタロットをきっかけにタロット占いを知ろうとする本エントリ、後半は占い方です。
(あくまでアマチュアの自己流の読み方なので参考程度でオネガイします)

ちなみに私がタロット関係で所持し、参考にしている書籍は以下になります
(他にも公設の図書館などで借りて読んだりなどしています)

 

 

 

はじめての人のためのらくらくタロット入門

はじめての人のためのらくらくタロット入門

 

 インターネットでは

www.senli-fortune.com

簡潔かつ豊富なコンテンツでとても参考になるサイトです

 

charge-fortune.yahoo.co.jp

占い師として有名な鏡リュウジさんのタロットコンテンツで初めての人にも
とても分かりやすい構成と語り口は流石です!

 

占い方


アニメ版1話の冒頭を振り返ってみるとイメージが掴みやすいでしょう。
先ずは、落ち着いた状態でカードに何を占うのかを込め、使用するスプレッド(カードの展開方法、占う目的によって変わります。次の段で紹介します)を考えつつ(アニメでは占う相手と最初に手をタロット上に載せています)裏を向けて混ぜ合わせます。
頃合いを見計ってバラけたカードを一度山にして、三等分します。
なお、占う相手がいる場合はその人に3等分してもらい、順不同で山に積み直します。
山を最初に作る時、カードの左上を頭にするとかしないとかもあるようですが私はそこまで気にしていません。

次に積み直した山から選択したスプレッド通りに、一枚ずつ裏向きのまま展開して
いきます。

展開し終えたらカードを一枚一枚めくっていきます。めくる順番は置いていった順です。
しかし、リーディングを行いタロットの配置から浮かび上がる結果を紡いでいく順番は必ずしもめくった順番ではありません。基本的には「過去→現在→未来」ですが
ヘキサグラムなど3枚以上使用する場合、スプレッドや占う内容によっては
「未来→最終結果→その原因となる過去→現在→周囲の反応→自分の状況→最終結果への対策」と言ったような単純にカードに割り当てられた基本的な意味にこだわらず
相手や占う事柄を念頭に置き何かしらの指針を浮かび上がらせていくのです。
その為、自分以外を思いやれる精神と深い占う内容への洞察力、カードが持つ意味を
組み合わせて言葉に換える豊かな想像力が求められます。
(個人的な考えですが、基本22枚のカードプラスそれぞれ裏表から結果を導き出す
タロットリーディングは決して目に見えず仕組みを明らかにできない胡散臭いスピリチュアリズムの産物ではありません。
極めて精緻な確率、言い方を変えると長年の人類の叡智に依り組み上げられたプログラムが映し出す演算結果がビジュアライズされたものです)

冒頭で、他人を安易に占わないように書いたのは、導き出した結果が依頼者がどんなに軽い気持ちで依頼したにせよ、伝えた結果はその人の次の一歩に大きく影響を与えうる事を肝に銘じる必要があると私は考えているからです。


占った相手は多少なりともあなたが導き出した指針に影響を受けます。
全く影響を受けないなどという事はあり得ません。


占いの入門には一人でやっているより他人を占う方が上達するからと積極的に他人を
相手にすることを勧めるものもありますが、自分の技術修練の為に他人の次の一歩を
軽んじるような考えに私は同意しかねます。
だから、私はきちんとした学びや教導を乞う事をお勧めしたいと思います。


古代、洋の東西問わず国家運営に占いが深く関与し、占いの結果や予言(預言)により多くの人が助かったこともあれば大勢死んだ事もあり、悪い方に外れた場合に占った人間が責を問われ処刑されたというエピソードはいくらでも存在しています。

現在の近代国家の法律では占いの結果で人が傷ついたり死んでも罪には問われませんが
それでもアニメ版1話であかりとの口論の際に冬菜が言った
「当たれば感謝するけど外れれば恨む」となり、占いの館で厳しい指針を突き付けられたバツイチの男がダエモニアと化したように現実で(ダエモニアは出ないにせよ)
タロット占いを軽い気持ちで他人に行った結果、自分自身や無関係の第3者に危険が生じる可能性がゼロではないと考えます。

 

スプレッド(カードの展開方法)


 幻影で登場したスプレッド


ケルト十字 1話冒頭他 (ウェイトが開発したとされ良く用いられる一つ 
オールマイティ じっくり一つ 時系列も追える)
ギリシャ十字 1話前半 (オールマイティ 概要把握に向く)
ホロスコープ 1話後半 (漠然としたテーマや未来向き)
●ヘキサグラム 5話中盤 (オールマイティ シンプルかつ具体的)
●イシュタルの船 7話中盤 (ネット上でタロット関連を多く扱ったサイトを運営するnekomata氏のオリジナルスプレッド 問題解決や進路決定の為に過去と未来を探る)
生命の樹 エンド   (最近のアニメでもよく見られるカバラの宇宙体系図に基づく)


オーソドックスなスプレッド

ワンオラクル
ツーオラクル
ツーマインド

1、ワンオラクル
 22枚のカードを裏を向けたまま横一列に並べ中から1枚を選んで横からめくり
結果を読む一番シンプルな占い方。
 あまりあれこれと視るのではなく直近の1日の運勢や目の前の事柄のイエスかノーかを視る向き


2、ツーオラクル
 2枚のカードから結果と対策を探るワンオラクルの上位版
 準備した22枚のカードの山の上から7枚ずつ「右」そして「左」に取り横に2枚並べ、横からめくります。


3、ツーマインド
 ツーオラクルが山から抜いたカードを左右横に展開したのに対し、ツーマインドは
上下縦に展開して占い対象の表層意識と深層意識を探る極めて恋愛相談向きなスプレッド。

本格的に使えるスプレッド(幻影アニメ本編で登場)


4、ヘキサグラム
 準備した22枚の上から順に六芒星を構成する正三角形を、上向きそして下向きの順にカードを配置していき、最後もう一枚六芒星の中心に配置する事で
 「未来→最終結果→その原因となる過去→現在→周囲の反応→自分の状況→最終結果への対策」を占う汎用性が高いスプレッド。
配置したカードの順に「過去→現在→近い未来→対策→周囲の反応→自分の状況→最終結果」の意味を掬いとる7枚を使います。
なお、読むのは配置した順ではなく幾つかパターンがあり、上下の三角ごとに纏めて7を読んだり、
先に挙げた様に(3→7→1→2→5→6→4)の順に繋げていくと良い様です。


5、ケルト十字
幻影ヲ駆ケル太陽で一番使われたスプレッド。タロット「ウェイト版」の作者であるA.E.ウェイトによって生み出され、占う事柄の時間による状況変化も視ながら
じっくりと結果を導いていくオールマイティなスプレッドの上級版


6、ギリシャ十字
5枚を選び、十字上に並べて現状・障害・傾向・解決・最終結果を視ていくオールマイティなスプレッドの入門編になります。
それはヘキサグラムやケルト十字に比べると手に取れる情報量が少ない為で、質問に対し大まかに捉えたい時に使えると思います。

7、ホロスコープ
大アルカナまたは小アルカナの中から13枚を選び、ホロスコープに見立てるスプレッド。
漠然としたテーマや未来(12か月+1年の鍵)を視るなどに向く

8、イシュタルの船
古代バビロニアの美・豊穣・航海・戦争の女神イシュタル(イシター)にちなみ
運命・未来を船に見立てたスプレッドです。
アニメ本編(7話の永瀧の母)を参考に色々と調べましたが残念ながら私にはインターネット上でタロット関連のスプレッド一覧や占いプログラムを公開していらっしゃる
nekomataさんのサイトでのネーミングとリーディングしか見つけられませんでした

9、生命の樹
よく、異性または自分の心理を深く知ることが出来るスプレッドと紹介され、運命や
未来より心理に振ったスプレッドのようです。
ただ、これについては占い方よりも幻影シリーズを深く理解する為に22枚のカードがどう配置され、タロット占い時に配置される位置にどのような意味が込められている
かをこれから始まる「幻影のメサイア」の為に押さえておいてほしいと思います。
占いの際には10枚の大アルカナを選びます。
そこから、性格や心理状態、心理的なネガポジを探っていきます。
その配置図が別名「セフィロトの樹」と呼ばれ、ユダヤの神秘思想カバラにおいて極めて重要な教義・宇宙の体現図と同じです。
それは人間が様々な道程を経る事で神の元に行ける、別の言い方をすれば「奇跡」を起こす為の体系を記しているとされます。
10の天球(セフィラ)、22の小径(パス)がそれぞれ小アルカナ、大アルカナに対応していると19世紀にエリファス・レヴィ(フランスのオカルティスト)が唱えたのがきっかけとされます。


さて、幻影の設定ではセフィロトを自由に操作し人の運命を操ろうとした研究の中からまずアイオーン・タロットが生まれ、そこからディアボロスタロットと
エレメンタルタロットが派生したとなっています。(アニメ4話前半部)
10のセフィラを頂点のケテル(王冠)そしてマルクト(王国)に下る神の聖性そのものこそ奇跡であり、そのメカニズムを解き明かして人が奇跡を起こそうとする為に
神秘思想や錬金術は産まれました。ですから、アイオーン・タロット(エレメンタルタロット)は(そういう世界の)その為の道具と言えるかもしれませんね

 

通常のタロットを使ったリーディング例

f:id:A-sky:20170828030039j:plain

(スプレッド:ヘキサグラム 1:吊るされた男逆 2:正義正 3:皇帝逆 4:女帝正 5:力逆 6:太陽正 7:節制逆)
では、タロット占い(リーディング)を試してみましょう。
先ずは、お仕事(探し)について一般的なウェイト版、ヘキサグラムで占ったという
想定で(画像はエレメンタルタロットですが)読んでいきます。


状況を確認しましょう。過去に「吊るされた男:逆位置」現在には「正義:正位置」
未来に「皇帝:逆位置」周囲の状況に「女帝:正位置」無意識「力:逆位置」
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」最終結果には「節制:逆位置」が出ました。最終結果にアンバランス・不安定さを示す「節制の逆位置」が出ており
中々厳しい内容です。


さて、ヘキサグラムのスプレッドですがこの出た順ではなく、先の説明の様にまず、3枚目から
読んでいきましょう。
「皇帝の逆位置」でお仕事絡みの未来という事は、元々ネガが多い他のカードの
逆位置より(審判や世界程では無いにしても)独りよがりや頑迷さにより大きな
失敗をすると告げていると考えられます。
次に最終結果でも「節制の逆位置」が示されており不安定だったり上手くいかず
くよくよすることになるという意味が顔を覗かせます。
今のままで行くと近い未来、仕事が決まっても空回りして過労気味になったり
成果を挙げられず消化不良な事になったり、仕事が決まらずイライラ・不信の塊に
なってしまいそうです。良くない意味で混沌として仕事は不安定になりそうです。


どうしてそうなるのか?過去の所を視ると「吊るされた男の逆位置」が示されており、仕事に一生懸命取り組んでいたものの視野が狭く成果に繋がらなかったり、自棄に
なってしまった事があるようです。その為、現在の所に「正義の正位置」という事で
過去に犯した失敗の体験から軽率さや浮つきから解放され物事をまっすぐに
捉えられるようになっていると本来は見て良さそうな所ですが、熱意を持ってという
より冷静さや醒めて車に構えた感じが勝ってしまい、冷たい印象をどことなく漂わせているのかもしれません。
無意識の所に「力の逆位置」という所からも体験により身体で色々学んだものの心の奥底では過去の失敗から抜け出せずに立ち直れていないとここは見るべきです

厳しい現状把握の暗示が続きました。さて、このままでは占った相手は絶望のどん底に突き落とされてしまいます。
暗い未来を少しでも避ける、スランプから抜け出す光明は見つかるのでしょうか?


素晴らしい事に自分の状況・選択肢の所に「太陽の正位置」が示されています。必要なのはカードの絵(ウェイト版の白馬に跨り、旗を掲げて前に進む幼子)の様に
自信を持ってまっすぐ自分が見据える目標に向かって努力することなのです。
さらなる幸運として周囲の反応の所に「女帝の正位置」が示されており、周囲の人は
その人を能力や経験はあると見て暖かく見守ってくれていると考えられるのですから
 

エレメンタルタロットを用いた場合のリーディング例

(スプレッド:ヘキサグラム 1:吊るされた男逆 2:正義正 3:皇帝逆 4:女帝正 5:力逆 6:太陽 7:節制逆)
次にエレメンタルタロットの意匠・設定を基準に先と同じ展開結果を読んでいきましょう。
基本的な部分は変わりません。
過去に「吊るされた男:逆位置」現在「正義:正位置」、未来に「皇帝:逆位置」周囲の状況が「女帝:正位置」無意識で「力:逆位置」
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」最終結果には「節制:逆位置」です。


未来の「皇帝の逆位置」、最終結果の「節制の逆位置」から努力の空回りや更なる転落や損失が視て取れます。


ここで引っかかったのは「翼」です。
皇帝のエレメンタルタロットに添えられているグロリオサという花
(神の)栄光や勝利の象徴の花として用いられるものですが
赤と黄色に彩られた揺れる炎のような姿からフレイムリリーと呼ばれたりもします。
その姿に不死鳥を思い浮かべ、快気への希望としてお見舞いの花束に添えるというのも
幻影とは別のアニメの1シーンでありました。最終結果の節制のカードも非対称の翼を広げた天使のアトリビュートです。そんなカードの逆位置から私はどうしても


「堕落(堕天)、絶望」
を思い浮かべてしまいます。


エレメンタルタロットの「節制」では先に挙げた天使と共に、またウェイト版でも節制のアトリビュートの一つとして夜明け・日の出が添えられています。
ここで夜明けそして天使から浮かぶモノとして「明けの明星」の異名を持ち、最も偉大な天使とされながら堕天した天使長ルシファーがあります。
奇しくも節制の次のカードは堕落を意味する「悪魔」であり、ルシファーは七つの大罪(悪徳)の傲慢を司り、これは「皇帝」の逆位置の意味の一つとしても数えられているものです。


加えてすごく個人的なネタですがその衣装からグロリオサの花を連想するニチアサの
(ある作品で途中から登場した)ヒロインは当初「絶望のプリンセス」として登場し傲慢な少女だった事も頭を過ぎります。
つまり、単なる仕事の失敗にとどまらず精神的・私生活の崩壊を含めた深刻な暗示なのかもしれません。


そして原因・きっかけの「吊るされた男の逆位置」からは
人物とエレメンタルタロットで追加されたアトリビュートのナナカマドとの隙間や
13番目の使徒ユダへの暗示として金貨やユダのアトリビュートの黄色が用いられている所からも良かれと思った判断が大きな失敗に繋がり、まだ自分の中で慎重に用心したのに失敗したと失敗の大きさを捉え切れておらず、無意識下では
(自分の現在の境遇に納得がいっていない。もっと評価されるべき)
という自意識過剰がくすぶっている感が漂います。

イスカリオテのユダは使徒達の経理を司っていたとされ、その立場を利用し不正を行っていたという説もありますが、マタイ・マルコ福音書において香油注ぎのエピソードでとてつもなく高価な香油を夫人がイエスに祝福の為にかけた事を無駄遣いと批判したのがユダで、思いがけずイエスにたしなめられた事でイエスが自分の想像した救世主でないと裏切りを始めたという解釈の方が有力です)


力のカードに見える山並みと黄色い円から思い浮かぶ太陽が逆さまで、日没そして
山には平地よりも大きく濃く日暮れに影が覆うことからも
巣食った闇の深さは深刻なのかもしれません。


その為か、本来、安定したクリアな状況を示す現状の「正義の正位置」の
冷たい部分が通常より浮かび上がってみえます。
潜在意識下での過去と現状認識の甘さそして不満から他人の過ちへの反応が
自己本位のきついものになっているようです。
アトリビュートとして添えられているリンドウの花言葉には「淋しい愛情」もあり
その影を一層濃くします。


ここからどうすべきなのでしょうか?
自分の状況・選択肢には「太陽:正位置」、周囲の反応に「女帝の正位置」とあります。
ここでは一つ前に示されたエレメンタルタロット「力の逆位置」と次に示された「太陽の正位置」の対称性に注目したいと思います。


先程、逆さまになった力のカードから日没と通常より深い山間の影をイメージしたと述べました。その次に燦々と光を降らせる太陽、つまり日の出は必ず
訪れるので自棄になってはいけないそう考える事は出来ないでしょうか。
昇る太陽は平地の方がその恩恵に浴しやすくヒマワリや草花を育てます。
それに比べて、山間に昇る太陽は高く昇らないと山間の隅々を照らしませんが
代わりに草花より大きな木が集まった森を育みます。
果物の多くは草ではなく木に実ります。
次のカードに豊かな実りを示す「女帝の正位置」も示されている事からも
来る時まで耐え忍び頑張れば大きな恵みや収穫が得られると信じるべき

そうは伝えられないでしょうか?

いかがでしたか?

タロット1枚1枚に備わった意味のかけらを繋ぎ合わせ、時には厳しくある時は優しさと励ましのメッセージを浮かび上がらせていく。
カンタンに出来そうで出来ない事ですが、あかりちゃんが「人の役に立ちたい」
と物語冒頭で占い師を志した理由がわかると思いませんか?


占いの修行を特段したわけでもなく、文章力もあまりありませんが
精一杯エレメンタルタロットそしてタロットの面白さをまとめてみました。
エレメンタルタロットを手にされた皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。

もし、このエントリと先のエントリから幻影シリーズとエレメンタルタロットに興味が湧いた方がいらしたら是非これを機に触れてみてください。
幻影シリーズクライマックス「幻影のメサイア」はこれからですよ!

geneino.com

それから、幻影シリーズを白銀までチェック済みという方には、拙い文章で恐縮ですが私が執筆者として初めて二次創作、長編(連載期間およそ1年)に挑んだ
「幻影ニ映ヱる剣月」も併せて是非!
(現在、全く別の幻影シリーズ二次も企画練っています)

www.pixiv.net


最期にこのタロットを産み出した方々と我々の手に届けて下さった皆さんに深く感謝申し上げます。